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川が好き。山も好き。
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平日の休みに、映画『遠いところ』を観てきました。脚本・監督は工藤将亮さん、出演は花瀬琴音さん、石田夢実さん、佐久間祥朗さんなど。
 夫と子供と暮らす17歳の主人公・アオイ、勤務するキャバクラにガサ入れが入り働けなくなり、働かない夫は暴力を振るったり、お金を持ち出して疾走したり、逮捕されたり、と様々に悲劇がおそってきてしんどい話、ではあるのですが、アオイの態度がどうにも悪くて共感も同情もできず。夫に一途っぽいのと子供に愛情があるのにはかろうじて救われるのですが。夫の暴力はひどいけれども、そもそもそんな相手を選ばなければいのでは、今からでも離れればいいのでは、そんな相手とそんなに若くして子供を作らなければよかったのでは、と自業自得に感じてしまうところがあります。
 ただ、離婚してそれぞれ新しい家庭を持ちアオイに愛情のない両親や、仕事で関わる大人達など、アオイの周りの人もクズばかりなので、そりゃあこのような荒んだ環境にいればこうなっちゃうのも仕方ないと悲しくもなります。違法な働き方を咎める警察や、虐待を疑って息子を引き離す児童相談所の人は圧倒的に正しいのに、アオイには響かない。まだ言葉も話せない幼い息子は無邪気でとてもかわいいのですが、この子も当然のように暴力を振るうような大人になってゆくか、その前にアオイがシングルマザーになってその彼氏に暴力を振るわれるのだろうと想像がついてしまうのは、こうした生い立ちを現実の事件で見聞きすることが多いからかもしれません。主人公に寄り添うのではなく、もっと大きな視点で貧困の連鎖に思いを馳せる映画なのだと思いました。

 週末、熱帯夜の寝苦しさに目が覚めてテレビを点けたら「朝まで生テレビ」をやっていて、少子化がテーマでした。日本に子供が増えないのは日本の現状に希望が見えなかったり、子育てにお金がかかったり、女性の生き方が多様化してきたり、氷河期世代の問題だったり、娯楽が増えたりと、政治家や活動家の方々が様々に議論をしていました。子供を生まない選択をする、または選択肢すらなく生めない人が大勢いる一方で、『遠いところ』の発端となったルポルタージュのように貧困が連鎖しようともぽんぽん生む人もいて、なにか世界の違いのようなものを考えさせられます。
 わたしが子供を生まなかったのは、社会の問題も無関係とはいえないけれど、つまるところ、ただ、縁がなかったからです。
 
 公式サイト→https://afarshore.jp/

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おとも
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自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

連絡・問い合わせ:
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