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川が好き。山も好き。
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先日は祖母の一周忌法要でした。祖母がいないことも、祖母のいない世が一年過ぎたということがまだ信じられない。どうにかこうにか生きてきました。
 お寺は近所で、家族や近しい親族、本家、分家仲間のこじんまりとした法要です。子供の頃は素直に信じてきた仏教の儀式も、おっさまのお話も、今はなんだかファンタジーのように感じます。深く理解はできなくとも、しきたりとして続けてゆくことが大切なのかもしれません。とはいってもわたしの代にもこうしたことがなされるのかどうか。
 ご詠歌の追弔和讃の譜面を渡されて、節回しは全然わからないのだけれど、こんなところにも五七五七七の韻律が馴染んできるのだなあとしみじみ思いました。

 法要の後に、叔母と歩いて紅花資料館に行きました。豪商だった堀米四郎兵衛の屋敷跡で、紅花商の資料や昔の生活道具が興味深いです。特にわたしが好きなのは紅花染めのお着物の展示。鮮やかな紅色のものや、鶴や松などの豪華な刺繍が施されているものなど、うっとりします。
 企画展示室では武者人形展をやっていました。豊臣秀吉や加藤清正、牛若丸と弁慶、神功皇后と竹内宿禰などがモチーフとして好まれていたのは江戸時代から戦前までなのでしょうか、現在のほぼ金太郎一強への変換が気になります。立派な人形をいくつも観ながら、人形に託されるお祝いの心や、健やかな成長への祈りが胸に沁みてきました。思えばわたしが生まれた折にも七段ものお雛様やいくつかの日本人形を親類から贈っていただいていたのに、健やかに育たずこんな仕上がりなので、なんだか申し訳なくて心ぐるしい。
 併設の物産館で、紅花染めの詰め合わせを買いました。ストールやハンカチ、手提げ袋やチャームなど。とてもすてきです。きょうだいらしき小さい子が二人、お堀の鯉にあげるえさを買っていました。叔母と紅花茶を飲みながら、わたしが父方の祖父母に贈られてその後いとこも着た七五三の着物を、今さらわたしに返されても着せるあてがないので、いとこに娘が生まれたら着せてはどうかなど、いろんな話をしました。

 晩春の山形はさくらんぼの花が満開でした。桜の花でお花見はするのに、さくらんぼの花の下にシートを敷いて愛でたりしないのがなんだか不思議なくらいの花盛りです。蜜蜂が花と花との間を飛び交っていました。犬の散歩に農道へ出れば、地域のお年寄りが畑仕事に勤しんでいる姿が見えました。挨拶をしたところ、「お姉ちゃんに散歩してもらってよがったねぇ」と犬が労わられていました。

  葬式の間を放っておかれたる山に蕨のひらきゆきたり
  

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おとも
性別:
女性
自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

連絡・問い合わせ:
tomomita★sage.ocn.ne.jp
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