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川が好き。山も好き。
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先週の朝ドラ「ブギウギ」、スズ子の弟の六郎に赤紙が来て無邪気にはしゃいでいる姿が心に残りました。現代に生きるわたし達はこの戦争で日本が負けることをも、当時の日本が間違っていることも知っているので、六郎がこの先つらい目に遭うことがわかっています。だからこそ、六郎の純粋さがとてもせつなく映ります。
 赤紙がきたら当人は絶望して家族は嘆き悲しんでと、物語ではみんなが戦争に反対していたように現代の価値観で描かれがちですが、実際はよろこんだり誇りに思ったりした人も結構いたんじゃないか、という気もしています。というのは、実際に戦争を経験した祖父や祖母などの身近な人達に好戦的な面が見えたり、以前の職場だった高齢者施設では利用者さん達が戦時中の話や兵隊時代の話で楽しく盛り上がっていたり、といった生の声に触れたからです。尤も、わたしが聞いたのはあの時代をくぐり抜けて生き残った人の声ばかりだし、当時はくるしくても何年も経って青春の思い出として笑って話せるようになったのかもしれないし、まして東北は空襲などの被害も少ないので他の地域に比べたらどこか呑気なところがあるとか、わたしに届いた声にも偏りがあるのでしょう。ただ、一般の市井の人達の中で、後世から見れば肯定できないようなことでも、その時その時にその人にそういう思いがあった、という事実は事実として受け止めたいようにも思うのです。当時は情報が操作されていたということも念頭に置き、もちろん、戦争には反対しながら。

 11月のお知らせ二つ。

 佐藤通雅さんの個人誌「路上」155号(2023.11)に22首「蔓の刺繍」を掲載していただいております。いろいろ迷いつつの一連ではあるのですが、たまたま一首目に「路上」という言葉が入り、ねらったわけでなく挨拶歌っぽくなったのが自分の中でうれしくもありました。

 「うた新聞」2023年11月号に5首「水遣り」掲載していただいております。
https://www.irinosha.com/

 お読みいただけましたらうれしいです。


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ベランダの桃の花が今年はふたつ咲きました。昨年はひとつだったのでうれしいです。
 さて、このたび歌集『にず』を読む会を開催することとなりました。コロナ禍などもあり刊行から数年越しではございますが、どうぞご参加お待ちしております。
 前半に歌会がありますが、読む会からのご参加もOKです。どうぞよろしくお願いいたします。
https://toutankakai.com/event/14603/?instance_id=2209

【歌集『にず』を読む会】

○とき:  令和5年(2023年)5月13日(土)13時~17時

○ところ: 仙台市シルバーセンター   
〒980-0013 宮城県仙台市青葉区花京院1丁目3番2号
TEL:022-215-3191
https://www.senkenhuku.com/silvercenter/

○次第: 

1 歌会  13時~14時20分

  題詠:「方言」を詠み込む 1首   ※実際に方言を詠み込んでください。
「めんこい」「なんでやねん」「エビフリャー」など

2 『にず』を読む会  14時30分~17時   

・『にず』の特徴を表す歌、とても好きな歌、何か言いたい歌などを事前に3首選んでください。

・加えて、【『にず』を一言(一文)で表すなら】ということで、『にず』にキャッチフレーズをつけてください。どのような感じでも結構です。

・当日は、全員の方に発言していただきたく、上記のものをとっかかりにお話しください。

○参加費:500円

○懇親会: 読む会の終了後、懇親会を予定しています。(仙台駅付近、予算3000円~5000円)

○申し込み締切:5月6日(土)

(歌会用1首+『にず』3首選+『にず』キャッチフレーズ)

・お名前  ・所属結社名(あれば)  ・メールアドレス   ・歌会のご参加の有無   ・懇親会のご参加の有無 をお知らせください。

○申込先・問い合わせ先: 三浦こうこさん koumeworld2000★gmail.com (★を@に変えてお送りください)

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「仙台のおばちゃん」と、わたしのことを妹が甥っ子に呼ばせていることがずっと気になっていて、昨年末にやっと「わたしは仙台人じゃないから、仙台って言うのはやめてほしい」と伝えることができました。人生の半分以上を仙台に暮らしていながら、たまたま仙台にいるだけ、という気持ちがとても強い。仙台はとても暮らしやすい街だけれど、根を下ろしている感覚は全然なくて、自分の意識は故郷の山形にずっとあります。吹けば飛ぶように生きていて。

 それはそうとして、現代短歌新聞3月号特集「宮城県の歌人」に「春」5首を掲載していただいております。3月号で宮城県特集、となると、震災の歌を詠むべきだろうか……と構えないでもなかったのですが、季節感は大事にしつつ自由に詠みました。お読みいただければうれしいです。

https://gendaitanka.thebase.in/items/72300983

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NHK総合「東北ココから」2023年2月17日午後7時30分(再放送2月18日午前10時30分)「震災を詠む 〜三十一文字に刻むそれぞれの“あの日”〜」にて、「塔短歌会・東北」の震災の歌や仙台歌会の様子なども紹介していただけるようです。東北ローカルで、東北の中でも地域により再放送のみだったりもしますが、他の地域の方もNHKプラスでの見逃し配信でご覧いただけるかと思います。どうぞよろしくお願いいたします、というほどわたしは映らないと思いますが、普通に視聴者として関心のあるテーマなので観ます。

 2月に入り、ドキュメンタリーなどで震災回が増えてきました。義務感のようにチャンネルを合わせつつ、ここ数年ほどは震災当日や直後の内容のものがつらくて怖くて。無理のない範囲で見てゆきたいと思います、トルコのニュースも。

https://www.nhk.jp/p/ts/WJ1LZ5K145/

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秋晴れの昼間、アーケード街に山形からお越しの露店が出ていました。里芋やアケビ、キノコ類など秋の味覚の並ぶ中、郷愁に駆られてイナゴの佃煮を買いました。100gで600円、イナゴは田んぼにいるのをしぇめる(つかまえる)ものという認識だったので、よく考えたら相場がよくわかりません。わたしが子供の頃は伯祖母が大きな鍋で煮ていたものでした。今は実家でも作っていません。わざわざイナゴを食べなくとも肉や魚などでたんぱく質はとれるし、イナゴも農薬で退治しているのか昔ほど見かけなくなりました。
 久しぶりのイナゴの佃煮はとてもなつかしい味がしました。けれども、3匹も食べれば郷愁は充分に満たされてしまい、むしろ満たされ過ぎたような気すらしてしまい、かつて日常的に食卓に並んでいた一品が、なにか非日常の権化であるような不思議さに包まれるのでした。

「うた新聞」10月号<ライムライト>のコーナーに、小文「じわじわ」を掲載していただいておりました。様々なところで書いた文章の再構築になってしまった感じもありますが、お読みいただけましたら。
https://www.irinosha.com/

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「現代短歌」3月号、特集「永田和宏の現在」にて、歌集解題を塔短歌会の皆さんが執筆しております。わたしは第13歌集『午後の庭』を担当いたしました。貴重な機会をいただけて恐縮しております。お読みいただければと思います。
http://gendaitanka.jp/magazine/2022/03/

 『午後の庭』を筆頭に、このところ、伴侶への挽歌の印象的な歌集をいくつか続けて読んでいました。思いが胸に沁みてきて、思わず涙してしまうようなものも少なくありません。
 わたしの亡きあとに、こんなふうに誰かが泣き浸ってくれることはあるのだろうか。わたしには、こんなふうに挽歌を詠む人生があるのだろうか。どちらにしても、まぶしい。

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痴漢をするのは圧倒的に男の人が多いように、街中でくっついているカップルは、女体を触りたい男の人の主動でそうなっているものだと思っていたので、ふと見渡した時に、男の人の手を一生懸命に握っているのは女の人で、ポケットに手を突っ込んでいる男の人の腕に手をからませているのも女の人で、男の人が手を突っ込んでいるポケットに手を突っ込んでいるのも女の人だと気づいた時、え、え、え、と困惑の果てに打ちのめされてしまったものでした。ほんの数年前の話です。そうして、「そうか、だからわたしの人生はうまくいかないのか」と、妙に腑に落ちたのでした。
 
 こんなふうに手は繋がれてしまうのか桜見終えてドトールを出て  『にず』

 さらに数年前にこの歌を歌会に出した時、「受け身過ぎて理解できない」「こんなふうに、って言われてもなあ…」というような評を受けました。当時は「そういう意見もありかー」と受け止めただけですが、思えば、その評をした方は何の疑問もなく当たり前のように自分からパートナーの男性に自然に手を繋ぐ、ごく一般的な感覚を持つ女性だったのでしょう。
 事実とその時の気持ちをそのまま詠んだので、それ以上の含みはない歌ですが、読み手には、わたしがまったく意識しなかった「本来は女性が手を繋ぎたがるものなのに」という前提が共有されているのかもしれません。それもまた興味深くあります。

 わたしにも、自分から手を繋ぎたくなることはあります。祖母のように足腰が弱って歩行のおぼつかない高齢者や、甥っ子のように手を離した隙にどこかへ走り出してしまいかねない子供などは、自分から率先して手を繋ぎます。転んだり、はぐれたり、危ない目に遭うのが心配です。一人で問題なく歩ける者同士であれば、よっぽど危険な道や人混みでもない限り、手を繋がなくても大丈夫。それは、相手に対して安心しているということでもあるような気がするのでした。

 NHKでアロマンティックやアセクシャルやをテーマにしたドラマ「恋せぬふたり」が始まりました。ああ、こういう時代がきたんだ、と思いました。だから一人で生きる、というのではなく、家族はほしい、という方向性に、このテーマへの誠実さを感じながら観ています。最終回まで恋せぬままに進んでほしい。なにか陳腐な展開で二人がカップル成立する結末だけは、どうぞ迎えませんように。

  無性愛なる称号にゆるされて欠陥なんてなかったわたし

 という歌がNHK短歌テキスト2010年6月号に掲載されています。「愛」の題詠でこれはなんだか挑発的ですが、もともと初句を「アセクシャル」と詠んでいた未発表作を、題に合わせて日本語にしたのでした。作者はわたしです。あまりうまい歌ではないですが、12年前ですから、なかなか時代を先取りしているのではないでしょうか。当時は、わたしの調べた限りアロマンティックという言葉はまだなくて、恋愛感情がないことは「広義のアセクシャル」と呼ばれていました。
 そのような性質を自分のアイデンティティにするつもりはないし、そもそもわたしの場合は先天的なものではなく母娘関係などの影響や心の抑圧なのかもしれないし、震災のような未曾有の非常時には「子孫を残さなくちゃ」という使命感が湧き出した経験もあるので、自認としてもアロマンティックともアセクシャルとも断定はせず、――っぽい、――寄り、などと曖昧にしています。それでも、わたしは心に何か欠けているのでは、と思い悩んでいた時に、こうした言葉を知り、ずい分救われたものでした。
 
 昔の自分を救ってくれた言葉が、一生を救ってくれるわけではないような気もしています。わたしも変わってゆきましょう。

『女性とジェンダーと短歌 書籍版「女性が作る短歌研究」 水原紫苑・編』に「花降る」10首掲載していただいております。わたしの分は「短歌研究」2021年8月号の再録ですが、書籍版はバージョンアップして読み応えたっぷりですので、ぜひ。
 https://tankakenkyu.shop-pro.jp/?pid=165824131


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今日は中秋の名月、満月がとっても明るいです。こんな明るい夜にうれしいことが一つ、2月の震度5の地震でぐちやぐちゃ失くしてしまっていた真珠の指輪が物の陰になっていたところから見つかりました。ずっとながめていたくなるような真珠の輝きは、そういえば月に似ているかもしれません。

月刊「うた新聞」9月号、<今月のうたびと>に、12首「相槌を打つ」を掲載していただきました。お読みいただければうれしいです。
https://www.irinosha.com/

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朝ドラはヒロインがすぐ東京に行くから嫌ひ コーヒーの湯気  逢坂みずき『虹を見つける達人』

 例に漏れず、今期の朝ドラ「おかえりモネ」も東京篇に突入しました。わたしは基本的には東京に行く展開に対して強い思いはないけれども、「おかえりモネ」はそれまでの舞台が馴染み深い宮城だったこともあり、地元の盛り上がりも感じていたので、もう少し宮城に留まっていてほしかったです。とはいってもタイトルからして戻ってくるのではないかと予想しております。わたしのふるさとの山形が舞台の「おしん」なんて、伊勢に行って戻ってこなかったことを、総集編を最近見て知ってびっくりしました。なにしろリアルタイムで見ていたのが3歳ぐらいなので内容は覚えていないのに山形でのおしんブームの記憶が大きかったこともあり、山形の物語だと信じ切っていました。

 「おかえりモネ」、震災のことなどもとても誠実に描かれていて好感を持って見ていますが、主人公の百音が先生に勉強を教わっている時に、二人が男女の仲に発展することを期待して職場の複数の人達がきゃっきゃと陰からのぞいている場面だけはどうにも苦手でした。当人同士が少なくともその時点ではそうした意識がないのに、恋愛関係になるように囃し立てて観察するというのは、恋愛を強制されているような、周りの複数の人達に娯楽として共有されているような、居心地の悪さを感じるのでした。

 「恋」や「恋人」といった歌をわたしも詠んできたけれども、それがうまくいかなかったという歌を詠んできたけれども、実際はわたしの心や振る舞いが、一般的な、或いは相手の期待するそれとはズレていたからうまくいかなかったのではないか、と自覚できるだけの違和感はずっとありました。適切な言葉が見つからないまま、便宜上、相聞に寄せていたような、そんなことを思い出しながら「短歌研究」8月号、水原紫苑さんの責任編集の女性とジェンダーをめぐる特集を読み耽っています。わたしも10首「花降る」掲載していただきました。
https://www.tankakenkyu.co.jp/

 塔・東北から『3666日目 東日本大震災から十年を詠む』も刊行されました。
 塔の東北に関わる面々で、東日本大震災とその後の日々の歌を年に一冊発行しています。11冊目にあたる今回は15名参加、「今思う<震災を詠う>ということ」というエッセイ企画もあります。定価600円、収益は被災した子ども達のために活動する団体に寄付されます。どうぞよろしくお願いいたします。
 boothという通販サイトからお求めいただけます。
https://toutouhoku.booth.pm/items/3115184 #booth_pm

 数日かけてぐだぐだ書いているうちに、朝ドラの方は百音と先生が接近していました。別にいいけど。

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6月に入りました。新緑のあざやかな季節です。日差しがまぶしくても木陰に入れば涼しくて、昨日の休みは欅並木の通りを少し歩きました。

 本日6月2日の朝日新聞夕刊文化面の「あるきだす言葉たち」に、「はつなつ」8首掲載していただきました。会員以外は途中までとなりますが、デジタル版でもご覧いただけると思います。お読みいただけましたらうれしいです。


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プロフィール
HN:
おとも
性別:
女性
自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

連絡・問い合わせ:
tomomita★sage.ocn.ne.jp
(★を@に変えてお送りください)
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