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わたしの12月はどこへ行ってしまったのでしょう、いつのまにか月末です。塔12月号が届いておりますが11月号を読みます。敬称略。

  蝉は鳴くあの時母にひどいことを言はずにをれなかつた私に  久岡貴子

 お母様との複雑な関係が見える一連から。ひどいこととわかっていても言わずにおれなかったのは、それだけ我慢ならないことがあったのでしょうし、他人ではなく母だから我慢せずに言えたのでしょう。それも過去のこと。耳を突くような蝉の声。何があったのかを明確にはせず「あの時」としたことで、憤りが母でなくあの時の自分に向いていることが際立っているようです。

  亡き父に君を会わせて「良い女を見つけたなあ」と褒められたかった  杜野泉

 「女」に「ひと」のルビは好みが分かれるような気もするのですが。親に褒めてもらいたいという、子供の絶対的願望をいくつになっても持ち続けているいじましさ。自分の人を見る目をきっと褒めてくれただろうというお父様への信頼と、褒められるような奥様であるという愛情も感じられます。

  嫁になり姑になりて寡婦となる やうやく春の日祖母となりたり  伊藤陽子

 肩書きのみを畳みかけることで女性の人生を語り、それぞれ変わりゆく際に付随したであろう物語が大胆に省略されています。そして一字を空けてのゆったりした下の句に、今の充実が伺えます。「祖母」となるのは健やかに歩まれた人生の着地点でしょう。これらの肩書きのほとんどと縁のなさそうなわたしもどうなんだろう、ということも考えらせられるのでした。

  転がつた踊り手もをり盆踊りは今年かぎりと発表されて  岡本伸香

 代々続く地域の盆踊り大会が、楽しみに、大切にされていたのが伝わります。「転がつた」というのが、ショックで腰を抜かしたようでもあるし、ズコーってなっちゃったようにも読めて、寂しくも愛嬌があります。ここまで愛される盆踊りもすばらしいなと思いました。

  一貫づつ分けあふことのうれしさよ次は帆立の回り来るを待つ  大堀茜

 回転寿司の歌。一貫ずつ食べればたくさんの種類を食べられるのがお得、というような現実的な喜びだけでなく、一皿を二人で分け合えること、同じものを共有できることのうれしさ。他のネタも当てはめてみて、やっぱり「帆立」なのが良いなあと思いました。

 11月号はオウムの死刑執行にまつわる歌と、生産性の歌が多くて興味深かったです。特に生産性の歌はどなたのもせつなくて。

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無題
おともさんの12月は前後色々お湯に親切にしてくれて無くなったかもだじょー(ToT)。
今年は広がっていってよかった年ですね。来年も宜しくお願い致しますです。佳いお年を♪
お湯 2018/12/26(Wed)18:04:36 編集
Re:無題
お湯さん、こんにちは。12月上旬、ずっと下の句に煮詰まっていたのです。お湯さんのせいではありませんのでご安心を。
ええ、今年はうれしいこともありました。こちらこそ、来年もよろしくお願いします。お湯さんも良いお年をお迎えください♪
【2018/12/27 00:17】
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(文末の短歌は既作から拾ってくるので本文と直接は繋がってなかったりもしますよ。)
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