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川が好き。山も好き。
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「高尾山に行こう」と、春の祖母の葬式で叔母に誘われ、迷うことなく「行きたい!」と即答していました。高尾山が東京の行楽地だということは認識していても、現実的に自分が登るとは全く考えたことがなかったのですが、「行こう」と言われた途端に自分が行く場所だという気がしてきたのです。行けるうちに行こうと思い、叔母の梨の仕事の落ち着いたこの秋に行ってきました。
 
 11月の高尾山は紅葉の真っ盛りで、平日でも賑わっていました。わたし達のような中高年女性二人連れの他に、家族連れ、カップル、高齢者グループ、行事らしき子供達、外国の方々、犬連れや赤ちゃんを乗せたベビーカーを押している人もいて、たくさんの人に愛されている山なんだなと感じました。整備された道沿いには根っこが剥き出しの樹木がたくさんあり、根っこが土を抱いている様はなんともいえない命の迫力があります。途中の権現茶屋で味噌団子を食べるなど休憩を挟みつつ登りました。
 山頂に着き、叔母に写真を撮ってもらおうと山頂を記す看板に並んでいると、前に居る若い女性にシャッターを頼まれました。ポーズもしっかりキマってて、まるでモデルさんみたいです。一人で来たのでしょうか、腰が重くて叔母から誘われなければ来てなかったわたしには、なにかとても軽やかで清々しく見えました。行こうと思えば一人でもどこへも行けるんだなあ、わたしもきっといろんなことをこれから楽しんでゆけるんだなあと気づかせてもらえたようでした。
 天候に恵まれたおかげで山頂からは富士山も見えました。前日の仙台から東京への新幹線の窓からも富士山が見え、高尾山口駅まで向かう電車の窓からも富士山が見え、この旅で3度目の富士山との邂逅ではありましたが、窓ガラスを隔てずに見たのは初めてでした。うれしくてしばらくの間をながめていました。富士山にまつわる個人的な思い入れも何にもないのに、富士山を見るとなんでこんなにありがたい気持ちになるのでしょう。さすがに富士山は圧倒的過ぎて、もし誘われても登る体力がないけれども。
 
 叔母の家に泊まるのも何年振りで、あまり会う機会もなくなったからか、恐縮するくらいのおもてなしをしてもらいました。なるべく荷物を少なくして来たつもりが、帰り際にあれも持って行ってこれも持って行ってと特売の瓶のインスタントコーヒーや叔母が若い頃に着ていた服などもいただいてしまい、結局紙袋が一つ増えて、実家で母に野菜を持たされるのとまったく同じ状況です。思えば、祖母も箪笥から何かを引っ張り出してはわたしに持たせようとしました。わたしも将来甥っ子などに同じことをするのでしょうか。するんだろうな。
 帰り際、ちょうど夜勤から帰ってきたいとことも会えました。このいとことも全然会う機会がなくて、お互い大人になって喋るのは初めてだったのですが、弟に顔がよく似ています。顔つきが似ていても、渋谷でスカウトされてスポットライトを浴びかけたいとこと、隣町のブックオフで万引きを疑われたことのある弟、これが都会と地方の分断。というわけでなく、顔は似ていても服装や髪型、身だしなみ、姿勢や佇まいで人の印象って全然違うというわかりやすい実例です。わたしも持って生まれた分はもうしょうがないので、自分で磨いてなんとかなるところはがんばってそれらしく見えるよう努めようとあらためて奮い立ちました。

 行きは新幹線であっという間でしたが、帰りは高速バスにしました。新幹線の半額以下な分、倍以上の時間はかかるけれども、昼でも夜行と同じ3列シートでカーテンで仕切りもできて窮屈な感じもあまりなく、一番後ろの席だったので気兼ねなくシートを倒して景色を眺めつつ読書もできて、これはこれでゆたかな時間でした。東京滞在中には塔の東京歌会にもお伺いできて、充実した2泊3日でした。

 富士山が見えてきたよと隣席の知らない人と指差しはしゃぐ


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おとも
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自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

連絡・問い合わせ:
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