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川が好き。山も好き。
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『兄消える』は夏頃に観ていました。監督は文学座の西川信廣さん。柳澤愼一さん(86歳)、高橋長英さん(76歳)のW主演。この主役二人の年齢で「観よう!」と決めました。兄役の柳澤さんは「本作を遺作にしたい」と挑まれたとのこと。タイトルが『父帰る』(菊池寛)、『兄帰る』(近藤ようこ)、『母帰る』(重松清)『夜消える』(藤沢周平)、などと紛らわしいですが、似ている響きの作品が多いからこそ耳に残るというのもあったかもしれません。

 町工場で一人で真面目に働く独身の弟のもとに、行方不明だった兄があやしい女性を連れて40年ぶりに帰って来て……という老兄弟の話。
 弟・鉄男の食生活がとにかく悲しい。朝は自宅でトーストとウインナーとコーヒー、昼は工場でカップラーメン、夜は行きつけのスナックで、というくり返しで、健康面が心配になってしまいます。見ているわたしが悲しくなるだけで、鉄男にとっては日常なのです、というのも悲しい。この映画の見どころはいっぱいあるのですが、わたしは食生活が一番印象に残りました。
 そんな実直な弟に対して、兄・金之助は飄々としてつかみどころのない感じ。服がおしゃれ。とてもすてきなので、遺作なんて言わないでこれからもご活躍いただきたい。
 長野の町並みは懐かしく、優しい映画でした。そして主題歌の「私の孤独」がとても合っていて良かったです。どこかで聴いたことがあるような気がしたのですが、シャンソンの名曲なんですね。この先の人生でもきっと折に触れて聴きたくなると思いました。
 
  公式サイト→https://ani-kieru.net/

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毎週楽しみに観ていたドラマ『少年寅次郎』が最終話を迎えました。映画『男はつらいよ』の主人公・寅さんの少年時代の物語で、主人公は育てのお母さんです。映画の方とは少し設定が変わっていたのかもしれませんが、おもしろかったです。なにより、幼年時代、少年時代の子役の子がかわいい。この子が大きくなって寅さんになるんだ、というのが自然に受け入れられるような雰囲気で好演でした。
 物語が昭和11年から始まったので当然の流れとして、第3話あたりで昭和20年8月を迎え、玉音放送が流れてきました。まただ、と思いました。少し前に大河ドラマの『いだてん』でも玉音放送を聞きました。その前に昼ドラの『やすらぎの刻~道~』でも玉音放送を聞きました。

 そんなにたくさんの連続ドラマを観ているわけではないのに、それほどの時期をおかずに玉音放送を続けて聞いたのが、自分でも少し気になりました。戦争特集の多い夏に観た単発ドラマでも聞いたかもしれないし、ドキュメンタリーを入れればもっと聞いたかもしれません。

 テレビで聞く玉音放送はほとんどが「耐え難きを耐え~忍び難きを忍び~」という一節ですが、8月に映画館で観た『東京裁判』では冒頭で全文が流れました。全文を聞いたのは初めてです。なんだかとっても難しい文章だったのですが、当時リアルタイムでラジオから聞いた人は理解ができたのでしょうか。少なくとも無学なわたしの祖母はわからない気がします。父方の祖父や同居していた大伯父など、戦争に行って帰ってきた人が存命だった頃にいろいろ話を聞いておけばよかったなあとも今になって思うのですが、子供の頃は戦争の話は怖くて積極的に聞こうという姿勢にはなれませんでした。また、家には戦死した兵隊さんの遺影があるので、子供心に察して遠慮していたようなところがありました。兵隊さん、なんて言っていたけれど、わたしと血の繋がりのある人なのだと思えば、なにか大切なことを通り過ぎてしまったような気もするのでした。
 『東京裁判』は冒頭で玉音放送が流れたあと、『昭和萬葉集』より土岐善麿などの短歌がいくつか流れました。こういったドキュメンタリー映画の中で短歌の朗読が挿入される、ということも興味深いです。どうして短歌なのか。どうしてわたし達は短歌を詠むのか。
 5時間くらいあったので体も心もどっと疲れましたが、観てよかったと思いました。観る前まではA級戦犯が誰なのかも、靖国参拝がどうして問題になっているのかもよくわかっていなかったのです。なにかを深く理解したとか、思想が大きく変わったとかいうわけではないですが、事実としてあったことのそのままの映像を観た、というのがよかったです。12月にも再上映されるそうです。

 そういえば、祖母から戦時中のエピソードを一つだけ聞いたことがあります。群馬県の落下傘工場で働くことになり、少女だった祖母はどうも罪を犯してきたようなのでした。

  落下傘工場で絹糸一つくすねてきたと祖母舌を出す

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京マチ子映画祭を観に行ってきていたのでした。ほんとうは『羅生門』とかもっといっぱい観たかったのですが、休みの都合などもあり、とりあえず2本です。

『流転の王妃』1960年公開。監督は田中絹代さん、出演は京マチ子さん、船越英二さんなど。原作は愛新覚羅浩の自伝。満州国の皇帝の弟・愛新覚羅溥傑と結婚し、終戦後に流転の日々を送った日本人女性です。学校の授業でも習った覚えがあるので歴史の人のような印象でしたが、わたしと生きている時代が重なっていたりして、そんなに遠い昔じゃないということに今さらびっくりしました。
 脚色が入っているとはいえ、実際にあったことなので、歴史のお勉強のように興味深く観ました。満州という国があったということを、いろいろ考えてみたい気がします。節子皇太后がシルエットでもなく普通に登場人物として顔まるだしでべらべらしゃべっているのが結構びっくりしました。天皇皇后と同じくらい皇太后の存在感のあった時代なのだなあ。王妃時代のゴージャスな衣装が京マチ子さんにとても似合っていました。 

『赤線の灯は消えず』1958年公開。監督は田中重雄さん、出演は京マチ子さん、野添ひとみさん、根上淳さん、船越英二さんなど。音楽は次の次のNHK朝ドラの古関裕而さん。福島歌会に赴くたびに駅前の古関裕而像を見ているので気になる存在になってしまった、これがいわゆる単純接触効果というものなのでしょう。
 売春禁止法が施行されたため、売春婦達が就職活動をする話。これもやっぱりわたしが赤線が廃止されている時代に生まれているので、歴史のお勉強のように観てしまいました。ナレーションが独特なせいもあるかもしれません。この時代の女性がこういう仕事に墜ちてしまうのには、人身売買のようなどうしようもない背景があったのでしょうか。まっとうに生きようとあがいてもあがいてもうまくゆかない様がとてもくるしい。世間の目も冷たいものです。まるで人権がないかのように扱われている場面はとても悲しく見えました。
 ハンカチで汗を拭くしぐさがとても印象的でした。顔だけじゃなく首やデコルテを拭くシーンが何度も出てきます。暑い日本の夏です。

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『ソローキンの見た桜』を観てきていました。監督は井上雅貴さん、出演は阿部純子さん、ロデオン・ガリュチェンコさんなど。というかわたしはイッセー尾形さんが出てると観ますね。

 日露戦争の頃、松山に設けられたロシア捕虜収容所で、ロシア兵捕虜・ソローキン少尉と日本人看護婦・ゆいが恋に落ち――という実話をもとにしたラジオドラマの実写映画化とのこと。戦後生まれなせいか第二次世界大戦、太平洋戦争に関する物語の方はいくつも触れましたが、よく考えたら日露戦争ものはあまり知らなかったので、なんだか新鮮でした。日露戦争において日本は戦勝国ですから、そのあたりの雰囲気はやっぱり違うようです。

 敵対していたはずの二人が、唐突に相思相愛になったように感じられてついていけない感じもなくはなかったのですが、そういうふうに気持ちが盛り上がることも男と女にはきっとあるのでしょう。
 なんとなく予告編などから勝手に想像していた流れとは違ってきて、「あ、こういう方向に行き着くのか」という驚きがあり、驚きと共に変にほっとしたりもしていました。そうして、自分の心より国とか社会とか家とか人とかを優先するような話をわたしは好ましく思う傾向にある、と再確認したのでした。
 桜が美しかったです。
 
  公式サイト→https://sorokin-movie.com/

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市原悦子さんの追悼上映で『しゃぼん玉』を観てきていました。出演は林遣都さん、藤井美菜さん、相島一之さん、綿引勝彦さん。監督は東伸児さん。乃南アサさんの原作は未読です。

 罪を犯したチンピラが、逃亡先でおばあちゃんに拾われて田舎生活を送っているうちに更生してゆく話。現代ものですが、ファンタジーだ!と思いました。人情ものの時代劇にはこういう罪人を匿う話は定番な気はするのですが、現代ものだと「そんなにうまくいくものかなあ」と気になってしまします。でも、市原悦子さんなので、こういう現実から迷い込んで辿り着いた桃源郷的な感じにも納得させられるのかもしれないとも思いました。それこそ昔話のおばあちゃんみたいで。市原さんの声だけで泣けてしまうくらいです。

 景色がとってもきれいでした。山とか畑とか私の好きな日本の光景がいっぱいで、もしかしたらステレオタイプなふるさとなのかもしれないけれど、実際にこういう村はあるということが思われました。地域のお祭りも大切に描かれていて、行ってみたくなりました。
 そして、スマさんの飼っている犬がわたしの実家で飼っている犬に似ていてかわいい。田舎の一軒家に外飼いの犬がいるというのがいいです。
 
 秦基博さんの主題歌はとてもすてきなのですが、この流れで聴くと林遣都さんと市原悦子さんのラブストーリーみたいでなんとも不思議な後味でした。

  公式サイト→http://www.shabondama.jp/

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『愛がなんだ』を観てきていました。監督は今泉力哉さん、出演は岸井ゆきのさん、成田凌さん、深川麻衣さん、若葉達也さん、江口のりこさんなど。角田光代さんの原作は未読ですが、角田さんなら見ておこうかなというような信頼感のようなものがあります。

 テルコは結婚式で出会ったマモちゃんを好きになり、マモちゃん一色の都合のいい女になってしまうのですが、それでもどうしようもなく好きなのでした、という話。
 前に見た『チワワちゃん』に続き成田凌さんがクズ男なのですが、そういう役の御用達俳優さんなのでしょうか、たまたまでしょうか。こっちは劇中でちゃんとクズ扱いされているので、その点はすっきりです。なんでこんな不誠実な人がそんなに好きなのか、「理屈じゃない」のでしょうけれど。洗脳とか、宗教とか、そんな感じに似ているのだろうなあ。マモちゃんがもっと魅力的ならば切ない片思いの話なのかもしれないけれど、しょーもない男の人だということがこの物語のキモなのだとも思います。愛って、ほんとうになんなのでしょうね。
 
  公式サイト→http://aigananda.com/

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『YUKIGUNI』を観てきていました。戦後日本が生んだ傑作カクテル「雪国」、その一杯のカクテルがもたらした奇跡の物語――ということで山形県酒田市のバー「ケルン」の92歳の現役バーテンダー・井山計一さんのドキュメンタリー映画でした。
 この映画の少し前に、伝説と言われた酒田市の映画館、グリーン・ハウスにまつわるドキュメンタリー映画『世界一と言われた映画館』を観たのでした。映画の前に『YUKIGUNI』の予告編を観たのですが、映画の方にも井山さんが出ていらして、なんだかとてもかっこよくて、そのままの流れでこちらも観たくなったというわけです。せっかくなので「雪国」の試飲と渡辺智史監督の舞台挨拶の時に観てきました。
 
 日本を代表するスタンダードカクテル「雪国」を考案した伝説のバーテンダーのドキュメンタリーということで、プロジェクトXみたいな感じなのかなーと想像していたのですが、仕事を愛するがゆえのお嬢様との確執、奥様の認知症発症など、家族の絆をめぐる人間ドラマも印象的でした。あるバー評論家の「BARは人なり。」という格言も沁みてきます。
 わたしはまったくお酒が飲めないので「雪国」というカクテルも知らなかったのですが、予告編やチラシで見た、グラスの縁に砂糖をまぶしてミントチェリーを沈めたそれがあんまり美しいので惹かれました。そしてなんといっても「雪国」という名前がすてき。静かな物語を感じます。

 映画に合わせて、渡辺監督は蝶ネクタイで登場されました。とてもお似合いでした。そして仙台市内のバーテンダーの方々が「雪国」を作って下さり、一杯ずつ振る舞われました。ウォッカではなくてジュースを使用したノンアルコールカクテルもありましたが、わたしの順番の前になくなってしまったようなので、本物の方をいただきました。一杯ぐらい大丈夫かな、と思ったのですが、舌がアルコールを受け付けないみたいで、辛くて苦くて一口も飲めないといった有様でした。これ、アルコールが大丈夫な人には甘く感じられるんでしょう。驚きなのは、考案者の井山さんその人もお酒が飲めない体質だったということで、舌でペロッと舐めるだけでカクテルを作っていると語られていました。追体験をしたのだと思うことにします。
 おつまみとして、酒田米菓のオランダせんべいも配られました。これは地元で「友・遊・裕の酒田米菓です」のCMでおなじみなので、なんとも懐かしい気分になりました。

  公式サイト→http://yuki-guni.jp/

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『チワワちゃん』も観たのでした。監督は二宮健さん、出演は門脇麦さん、成田凌さん、寛一郎さん、玉城ティナさん、吉田志織さん…って、公式に記載の順番通りに書いたらチワワちゃん役までが長かった。岡崎京子さんの原作漫画は読んだような気もするのですが、なにしろ10年以上前なので他の漫画と混同しているかもしれません。
 東京湾バラバラ殺人事件の被害者としてニュースに映し出されたチワワちゃん。ミキは仲間達からチワワちゃんとの思い出話を聞くが、みんなチワワちゃんの本名すら知らず、みんなの語るチワワちゃんには一貫性がなかったのだ――、という話。
 
 クラブで遊んでいるパリピ仲間達が大金を手に入れて水着姿で豪遊して、となんだかプロモーションビデオのような感じが続いて、正直わたしはそういう遊びが楽しいタイプではないので、どうしたものかと思いつつ、無邪気でキラキラした新入りチワワちゃんに対するミキの内面でのモヤモヤ感みたいなものはリアルで痛いです。
 チワワちゃんの危うさもなんだろう、でもこういう捉えどころのない女の子が愛されるんだろうなあとも、やっぱり思う。演じている吉田志織さんが大きな口を開けて笑うのがとても印象的でした。この先他の出演作を見ても「チワワちゃんだ」って思ってしまうかもしれない。
 ミキがチワワちゃんに複雑な感情を抱くのは、まず最初にチワワちゃんがミキの好きなヨシダの彼女として現れたからというのが発端なのですが、このヨシダの魅力がわたしにはさっぱりわからず。ラブストーリーではないのだから登場人物の恋心に共感する必要はないのかもしれないけれど、最初から最初まで謎でした。

 チラシのコピーなどには「SNSの時代」というような文言があるけれど、仲間達がSNSで繋がっているゆえに空虚な関係性だった、というわけではないので、あんまり関係ないような気がしました。原作もSNSがない時代に描かれているし。ただ、興味本位でチワワちゃんがSNSを始めようとするのを、既にSNSで人気なミキがそれとなく止めようとする様は女性の嫌な部分が出ていて見どころなのではないかと思ったりもしました。

 そんな感じで、メンヘラ系の女の子の映画を続けて観ました。こういう自分の感情のままに突っ走る人達に、わたしは屈折した羨望のようなものがあるのかもしれません。

  公式サイト→https://chiwawa-movie.jp/

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『生きてるだけで、愛。』を観てきていました。監督は関根光才さん、出演は趣里さん、菅田将暉さん、仲里依紗さんなど。本谷有希子さんの原作は未読ですが、他の映画化作品を観たり小説を読んだりはしていて、ちょっとこれから読んでみたいと思っていたところでした。
 自己診断の鬱病と過眠症の寧子は出版社勤務の津奈木と同棲中。津奈木の元恋人が現われ、津奈木とよりを戻したいから自立して、と無職で寝てばかりいる寧子を知り合いのカフェでバイトとして雇わせるが…という話。

 うーん、なんというか、寧子は始終不機嫌で理不尽に怒ってばかりでワガママで自分勝手で被害妄想強くてとても共感できず。なんちゃって鬱のメンヘラさんという感じ。本人はすごくくるしくて生きにくいんだろうけど、これは振り回される周りの人の方が絶対にずっとしんどい。
 とはいえ、わたしみたいに自分の感情をしまい込んでへらへらやり過ごしているより、感情むき出しのこういったタイプの方が人間として魅力的なんだろうな、とも思うのでした。だから寧子は津奈木に養ってもらえているし、現実にもこういう女性には大体恋人がいます。ほっておけないのでしょうし、何考えているかわからないような不気味さがなく、そのまっすぐさに安心できるのかもしれません。
 寧子は津奈木が自分に対して何にも言わず本音で向き合ってくれないことを責めます。わたしも、絶対に寧子に責められるタイプだな、と思いました。
 相容れないけれど、キャラクターとして寧子は興味深くて、趣里さんも好演でした。
 
 いろいろ思うこともあり、映画館帰りのその足で本屋さんに赴き、心理士の方に以前勧めていただいた平木典子『アサーション入門――自分も相手も大切にする自己表現法』(講談社現代新書)を購入しました。

  公式サイト→http://ikiai.jp/

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『赤い雪』を観てきました。脚本・監督は甲斐さやかさん、出演は永瀨正敏さん、菜葉菜さん、井浦新さん、夏川結衣さん、佐藤浩市など。冬なので冬らしい映画が見たいというのと、「10年に1本と言われた脚本」という宣伝文句にも惹かれました。

 この映画の雪の感じは、なんというかどんよりとしていて、すごく重たい。というか、この話が重たいです。今、目を覆いたくなるような虐待のニュースが蔓延っているだけに、生々しく感じる部分もあるのでしょう。あと、後妻業あたりも。菜葉菜さんの演じる早百合は素行が悪くて口が悪くて本当に嫌な感じなのですが、あの親の下に生まれてこういうふうに育ったらそうなるという底辺社会の澱みを見せつけられるようでなんともかなしくなるのです。こういう生い立ちを、事件のニュースやドキュメンタリーでいくつも見たと思いました。酒浸りで部屋にたくさんの空き缶が積んであって怒鳴りながら蹴っ飛ばす、なんてわたしの生活には全く縁のない光景だけれど、日本のどこかではありふれた日常なのでしょう。
 それにしてもすごい雪だな、と思ったらロケ地が地元でした。ああそれであの陰鬱さが、と納得するものがあります。

 もともとわたしがサスペンスをあまり好まない方なせいかところどころよくわからないところがあって、伏線に気づかなかったのか、行間を読みきれなかったのか、なんだかぼんやりしたままどう解釈したらいいのかわからない結末まで行ってしまって、救いのない展開ということも相まって、もやもやした気持ちでシアターを出ました。
 しばらくすると一人の女性に「さっき『赤い雪』を見ていた人ですよね」と声をかけられました。やはり解釈に不安があったようで「あれはああいうことで、つまりこういうことなの?」というようなことを確かめたかったようです。わたしは全く気づいていたなかったので「そうだったんですね!」とすっきりしました。その他いろいろ答え合わせができてよかったです。前に、2時間同じ部屋で一緒に過ごしているのに誰とも声を交わさないという歌意の映画館の歌を詠んだことがあったのですが、言葉を交わすこともあるのですね。二人して「難しかったですね」と語り合いました。
 わたしは難しかったですが、考察が好きな方などは楽しめると思うし、2回目に見たらまた何か違って見えるような気もしました。映像や音楽が印象的な作品ではありますが、小説版も読んでみたいかもしれないです。

  公式サイト→https://akaiyuki.jp/

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自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

連絡・問い合わせ:
tomomita★sage.ocn.ne.jp
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