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川が好き。山も好き。
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『赤い雪』を観てきました。脚本・監督は甲斐さやかさん、出演は永瀨正敏さん、菜葉菜さん、井浦新さん、夏川結衣さん、佐藤浩市など。冬なので冬らしい映画が見たいというのと、「10年に1本と言われた脚本」という宣伝文句にも惹かれました。

 この映画の雪の感じは、なんというかどんよりとしていて、すごく重たい。というか、この話が重たいです。今、目を覆いたくなるような虐待のニュースが蔓延っているだけに、生々しく感じる部分もあるのでしょう。あと、後妻業あたりも。菜葉菜さんの演じる早百合は素行が悪くて口が悪くて本当に嫌な感じなのですが、あの親の下に生まれてこういうふうに育ったらそうなるという底辺社会の澱みを見せつけられるようでなんともかなしくなるのです。こういう生い立ちを、事件のニュースやドキュメンタリーでいくつも見たと思いました。酒浸りで部屋にたくさんの空き缶が積んであって怒鳴りながら蹴っ飛ばす、なんてわたしの生活には全く縁のない光景だけれど、日本のどこかではありふれた日常なのでしょう。
 それにしてもすごい雪だな、と思ったらロケ地が地元でした。ああそれであの陰鬱さが、と納得するものがあります。

 もともとわたしがサスペンスをあまり好まない方なせいかところどころよくわからないところがあって、伏線に気づかなかったのか、行間を読みきれなかったのか、なんだかぼんやりしたままどう解釈したらいいのかわからない結末まで行ってしまって、救いのない展開ということも相まって、もやもやした気持ちでシアターを出ました。
 しばらくすると一人の女性に「さっき『赤い雪』を見ていた人ですよね」と声をかけられました。やはり解釈に不安があったようで「あれはああいうことで、つまりこういうことなの?」というようなことを確かめたかったようです。わたしは全く気づいていたなかったので「そうだったんですね!」とすっきりしました。その他いろいろ答え合わせができてよかったです。前に、2時間同じ部屋で一緒に過ごしているのに誰とも声を交わさないという歌意の映画館の歌を詠んだことがあったのですが、言葉を交わすこともあるのですね。二人して「難しかったですね」と語り合いました。
 わたしは難しかったですが、考察が好きな方などは楽しめると思うし、2回目に見たらまた何か違って見えるような気もしました。映像や音楽が印象的な作品ではありますが、小説版も読んでみたいかもしれないです。

  公式サイト→https://akaiyuki.jp/

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自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

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