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川が好き。山も好き。
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じゃあこれで失礼しますとにこやかにこの世去りたし桜咲く日に  岩切久美子

仁王像にも深く彫られて臍のありこの息子を叱る母ありぬべし  酒井久美子

右下に金星輝く空のことラジオに聞きて西へ帰らむ  林芳子

桜まだ咲かねどどこかに行きたくて錦鯉品評会の姫路城広場  久岡貴子

食べ終えたら忘れてしまうテルさんの「おいしいなぁ」を胸ふかく吸う  山下裕美

揚げパンを犬に喩える人あれば犬を揚げパンに喩える人あり  白水ま衣

<さびしい>が心の壺から溢れ出しスーパーのレジでつい口に出た  野島光世

ときおり大映しになる証人は案外童顔などと思いつ  宮地しもん

冬の田のなかに伸びたる人影が音に合はせて杭を打ちをり  山口泰子

松の木は一万で売られその金で腕時計を買ってもらいぬ  小山美保子

語ること多きにすぎて運転の子に伝ふべき道逃したり  仙田篤子

クレームの多き季節がやってきてみんながみんな春だといひぬ  西村玲美

ユニセフにわずか出したる寄付金も控除の欄に書いてしまえり  向山文昭

結果的に祖母が遺影を撮られしは二年前の海の日なりき  永山凌平

ひなあられ籠に持ちつつ見上げたる内裏雛に恋ひゐし幼な  長谷仁子

六人の男総出で持ちきれぬ柔道したる義兄の棺は  柳村知子

三月前に夫を送りし斎場の前を通って図書館に行く  今井眞知子

玄関の手元が暗く庭先の洗濯機の上にて記入す  高原さやか

面白くないけどみんなが笑うから笑っています 明るい職場  王生令子

見舞うひと皆携えてくるせいでペットボトルのお茶ばかりある  小松岬

僕は正しく生きていたいだけなのに天気予報がもう邪魔である  大橋春人

宮原のサービスエリアの小籠包娘の土産に三個買いたり  平田優子

朝ごとに窓にし見ればきのふより大きくなりて山はありたり  古関すま子

電子レンジに入れてはならぬと歯ブラシの箱に小さく刷られてありぬ  川田果弧

来年になれば派手になるからと今年も言いて着る赤い服  相馬好子

人生でワースト一位の悪夢にも主役で僕が出てきてほしい  拝田啓佑

陽だまりに「むすんでひらいて」孫と吾の二人の影も指を開けり  桂直子

М子とは浅い付き合い友達とあの子がケンカした時だけの  松岡明香

見納めと去年は思いし桜花めぐり来て春 生きて見えつ  里乃ゆめ

六年をともに暮らせば「ただいま」と言うなり部屋の隅のルンバに  谷活恵

***

 敬称略。選者の歌は含まず。
 今号は塔新人賞、塔短歌会賞の掲載号ですが、掲載作、選考座談会ともに読みごたえがあってよかったです。受賞された皆さまおめでとうございます。わたしは新人賞の方に応募していましたが、予選通過でした。ありがとうございます。


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短歌とか詩とか本とか。
(文末の短歌は既作から拾ってくるので本文と直接は繋がってなかったりもしますよ。)
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