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川が好き。山も好き。
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  チョコレート色のドレスを購いぬ二月に呼ばれた結婚式に

  式終えて「やっと実感沸いてきた」と同じ名字に嫁ぐ新婦は

  一回り下の同僚と「幸せになりたいね」って笑う星空


***

 ほんとうは6首載せていただいたのだけど、思うところあって半分お蔵に。自分で詠んだ歌を自分で消したくなってしまうのは、短歌というものが私性と切り離せないものだからなのかとも思う。
 これまでの人生で関わったたくさんの人達に、わたしのことなんて忘れてほしいと切実に思うくらいに自分の来し方が恥ずかしくなってしまう瞬間がある。自分を残しておきたくて短歌なんて詠んでしまうくせに。

 以前、ある歌人の方に、「今はインターネットでいろいろ発信できるけれど、残すためには紙媒体で発表しなければならない」というような話を聞いた。 それは、短歌に限らず、評論であったり文章全体に通じる話なのだけれど、なにかとても大切なことを聞いたような気がした。

 言葉が残る、ということが、今はすごくこわい。なにかにつけて、あんなこと言ってしまうんじゃなかった、失言だった、と後悔ばかりの日々の中で。

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  本を読むひとと答える戯れに好きなタイプを聞かれた時は

  徒歩五分先の図書館これからはここをわたしの本棚にしよう

  雪の音さえも聞こえる図書館の机に盗難注意のPOP

  背表紙に囲まれているわたしまだなにも知らない人だと思う

  詩の棚に茨木のり子『歳月』がなくて二月の妹の結婚


***

 ほんとうは6首載せていただいたのだけれど、思うところあって一首自粛。

 書き物をするとき、この頃は近くの図書館へ赴く。
 図書館を含むこの文化施設が、震災時は臨時の避難所となり、自宅の中が散乱して寝る場所のなかったわたしもお世話になった。
 寝泊りする部屋の欄に名前を書いたホワイトボードも、停電の夜のためのろうそくも、配給のためのダンボールや長テーブルも、「歯みがきはご遠慮ください」というトイレの張り紙も、今はもうない。あんなたった数日のことなのに、来る度に思い出す。
 図書館、無事に復旧できてよかった、なにもなかったみたいに。

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  思い出せ引き返すなと久方の津波警報にアナウンサーは

  まもるものもなくまもられるものでもなくただ過ぎるのを待つ震度四

  あの時も一番声の聞きたかったひとに電話はできなかったっけ

  返信はいいと送った友からの返信が来る震度五ののち

  震災後通い始めたメンクリへの道すがら建つ仮設住宅

  花は咲くお守りのごと再開の映画館にて配られる種

  被災して二年も経てば厚くなる無料配布の求人雑誌

  
***

 去年12月の大きな余震を詠ったもの。
 年末に結社へ入会して、今号から自分の短歌が掲載してもらえます。届いたのは3月11日でしたが、前日に歌会があり、先に届いていた方々から「新樹集に載ってたよ」と教えていただきびっくりしました。

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プロフィール
HN:
おとも
性別:
女性
自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

連絡・問い合わせ:
tomomita★sage.ocn.ne.jp
(★を@に変えてお送りください)
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