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川が好き。山も好き。
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  石巻焼きそば屋台の屋台の列長し仙台泉区花火大会

  十二階トイレ窓からお隣りのビルの会議が見ゆ薄曇り

  こんな仕事こんな仕事と思いつつ就業できることのうれしさ
  
  ユニクロのTシャツ二人かぶいりいる東北大学短歌会歌会

  偶然に会いたるままに駅中の立ち食いそばを並んで啜る

  豚汁と思えば美味し宮城味あれを芋煮と認めないけど

***

 今月はごちゃごちゃした感じ。そして今月号からなぜか江戸さんの選歌欄評を担当しております。評は不得意で、歌会でもとんちんかんなことばっかり言ってしまうわたしなので、うまく歌意を汲めているか心配なのですが、半年間がんばりますのでどうぞよろしくお願いします。

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あの君と出かけなかった小旅行を今この君の助手席で行く

  比べてるわけじゃないけどあのひとも車にカーナビ付けぬ主義だった

  「蝉の声すごいねぇ」ってまた言いき夕暮れ前の露天の風呂に

  貸し切りの露天風呂にて人四人ほどの距離空け浸かる二人は

  はだけたる紺の浴衣の裾にのぞく君の脛毛よ「滝」なる部屋に

  君と呼ぶ君のいつしか入れ替わりもう満開のひまわり畑

  わたしから忘れられゆく君のため涙を流す夕焼けも見ず

***

 年鑑回顧の12月号、わたしは「福島歌会の一年」を執筆させていただきました。

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手のひらをゆるしてしまう手のひらを捧げてしまう獣のように

  階段をゆっくり上がってゆく恋だ来週たぶん鎖骨にさわる

  紐を引き蛍光灯を君が消す 蛍光灯が君越しに見ゆ

  産み終えしのちのいもうとの饒舌なメール キラキラネーム名付けて

  山吹のミツビシ鉛筆カバンから君は取り出し甥の名を聞く

  帰り来るもののあることうれしかり君が借り行く藤沢周平

***

 三首目の歌は、今月の百葉集に採っていただきました。百葉箱で吉川さんに「「蛍光灯」だけをクローズアップして歌っているが、恋の思いの溢れる一首」等々評もいただけてうれしいです。

 九月号特別作品評で森さんに「包丁の音」のタイトル歌の評もいただきました。丁寧に読んでいただけてありがたいです。

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なにげなく腕に触れられわたくしがわたくしになる森林公園

  『サラダ記念日』手に取る君の指の毛をながめていたり文学館に

  ありがちに展望台で夜景見てありがちに口吸われておりぬ

  心病むおとうとを持つ姉であることをいつまで黙っていよう

  君からのメールの返事短くて少しうすめのカルピスを飲む

  「思い出ができただけでもよかったよ」すべてをゆるす魔法の言葉

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包丁の音

  「また姉妹で温泉行こう!」婚約を伏せた賀状の添え書きなりき

  十年を待たせて腹をくくりたるごとくいもうとは二十九で嫁す

  いもうとに先を越された姉なるをネタの一つとして笑いたり

  両親へ「子育て終了証」としてアルバム送りたるいもうとは

  「おねーちゃんへ」御車代として熨斗に貼られていたり黄色の付箋

  いつまでも帰る場所ではないような実家で作るナスの肉詰め

  犬のために生きてるような友がいて未だ嫁がず十四歳上

  寝そべったその身をひねり手術痕舐めているなり雨の雄犬

  くちびるで舌で触れるということの、あなたの(わたしの)獣を怖る

  あれはどこのじいさんと思えば父なりき畑で鍬を振るうすがたの
 
  たぶん行くことはもうない父親の実家にあった鰹節削り
 
  当たり前のように誰かがいることの未知まぶしくて大根を煮る
 
  包丁の音であなたを待たせてた時間をわたし仕合わせと呼ぶね

  独り居の友ことごとく犬猫と暮らしておれどわたしは飼わず

***

 特別作品に掲載していただけた連作。三井さんの評によれば「家族との微妙な感情をあまり深刻にならず、さりげなく描いている」とのこと。

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母子家庭の母子受講料免除なればシングルマザーの介護士多し

  元営業元販売員元編集元警察官現皆介護士

  タミィは施設(※ルビ ここ)のパティシエ!なんて褒めそやされ仕事が楽しかったあの頃

  お下がりの介護ベッドにシルバーカー使いて祖母の八十八歳

  面接に行けば必ず「結婚のご予定は?」って聞かれる三十路

  長電話するために長電話しているような長電話なりけり

  幸せはきれいな寝巻きで眠ること取り込みたての白いシーツで

  雨の日がああ待ち遠しい新しく赤い雨傘購いしため

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  女性薬「命の母」のほの甘く泣きたいような子宮の色よ

  病気してばかりいるから子が産めぬと祖母が笑ってわたしも笑う

  人生に「もしも」はなくて黒ほおずきアパート跡より根ごと引き抜く

  生物としての正しい形なり子を宿したるいもうとの腹 

  百均で鉢と土とを購いてふるさとの花、紅花をを蒔く

  両の手に歌集を借りて千葉さんのマンション出れば夕焼け雲よ

  低反発枕になろう もしいつかわたしに愛しいひとができたら


***

 わたしの自宅の隣のアパート跡に、自生していた黒ほおずきを、根ごと引き抜いたのは母です。そのまま実家に持ち帰り、植え替えていました。お盆に帰った際には、きれいな花を咲かせていました。

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颯爽と車両を過ぎる女性車掌の髪くくりたる黒色のシュシュ

  伝えないことには伝わらないことがいっぱいあって降り積もる雪

  受給資格満たせなければいただけぬ手当いくつもありて届かず

  「明日 勇気」 ハローワークの求職の申込書の記入例の名

  職安の帰りに五円にぎりしめ寄った神社の桜のつぼみ

  お雛さま、お内裏さまだけ飾ったと母のメールのピンボケ写真

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独り身のわたしもついに新しき称号を手に入れたり「伯母」の

  いもうとの同棲、結婚、妊娠もみな母親の口より聞けり

  わたくしが子を生まずとも祖父祖母に父母はなりゆく粉雪が降る

  わたくしが口づけさえも知らぬままいもうとは子を身ごもりて 冬

  せめて初孫はわたしが生みたいと心のどこかで思いおりたり

  絵本などいつかわたしは買うだろう未だ産まれざるいもうとの子に

***

 4首目、選歌後記に「独身の作者の妊娠した妹に対する微妙な感情が巧みに表現されている」との評をいただきました。

 一首評で、4月号のタクシーの歌をみずきちゃんに取り上げていただきました。ありがたいです。

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医者へ立つ気力なければ発熱の日々を一人で寝て過ぎるなり

  寝る以外飲まず食わずをメールすれば隣県から駆けつけたる母よ

  連れ出してくれる人がいてようやくに処方されたりタミフルなどが

  隔離され体温計をくわえつつながめる窓の雪がきれいだ

  一人暮らしよりは隔離の方がまだまし それなりにご飯も食べて

  一週間仕事休めば一週間分の給金が消えてくるしい

***

 3月号の作品合評で、上澄さんと上本さんに「子供生みな」の歌を取り上げていただきました。読んでいただけてうれしいです。どうやら切なさを感じ取っていただけたようです。


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プロフィール
HN:
おとも
性別:
女性
自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

連絡・問い合わせ:
tomomita★sage.ocn.ne.jp
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