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1月下旬から、ブログの提供元のシステム障害で表示されなかったり繋がらなかったりの状況でした。データ消えるかな、と心配したりしていましたが、無事に復旧していただけてありがたいです。なにかすごく大変な作業が行われていたのだろうなあと思うと技術者の方々には頭が下がるばかりです。お疲れさまでした。
 塔12月号を読みましょう。敬称略です。

  格別に私にやさしいと思っていた職員さんは誰にもやさしい  藤井マサミ

 優しくされてうれしかったのに、私だからじゃなかったんだ、あの人にもこの人にも優しいんだ、と気づいてしまった時の寂しさ。職員さんは何も悪くないのにガッカリしてしまうような微妙な心の機微、わたしにも覚えがあり共感しました。
 
  都から離れるほどに闇は増し小さき駅舎にわれを待つ夫  岡山あずみ

 より鬱蒼とした不安を感じるのは「都」という古めかしい言葉選びのためでしょうか。結句の夫が灯りのような安堵感です。

  友が子を連れて来しより四十年このごろ子の子を伴いて来る  橋本成子

 母になり祖母になりとライフステージが変わっても続く長いお付き合いのお友達。下の句の調子が良くて声に出して読みたい楽しい雰囲気です。

  子を貰ひ育てられずに返し来し伯母はもう亡く弟も逝きぬ  井上政枝 

 作者の弟が伯母に貰われていったのでしょうか。近い間柄だからこそ貰ったり返したりできたものの、その分しがらみができたのかもしれません。当人達が亡くなってやっと解き放たれたのだと読みました。

  お話はいつでも姉は意地悪でやさしい妹みなに好まる  中林祥江 

 まず思い出したのはキツツキと雀の昔話ですが、確かに昔話や童話はいつもそうなのです。そのことに心が立ち止まるのは、きっと作者が姉だからでしょう。わたしもまた姉なので、せつなく読みました。

  一日が終はれば足は田の中を歩くがごとくふはふはとあり  福島美智子

 稲刈りの一連から。長靴を履いて一日中を田んぼで過ごした疲労感が伝わります。稲刈りの頃の田んぼは独特な足触りなのです。

  われが死ねば腱板断裂の妻の背の湿布はいったい誰が貼るのか  荒堀治雄

 この使命感に胸を打たれるのでした。漢字表記の病名がまたくるしい。奥様もまた、作者に湿布を貼ってもらうために生きているのかもしれません。

  工人を訪い集めたるこけし出せばこけしは年取らぬままに  中村美優 

 思い出の中で、工人の顔も自分の顔も今より若いけれど、こけしは今手にしているものと同じ顔なのです。その変わらなさもこけしの魅力だったのだ、とあらためて気づかされた一首です。

  長篇を次々読みゐし若き日の夏の休みの土蔵の匂ひ 金光稔男 

 クーラーのない頃に土蔵に涼を求めたのでしょうか。次々にページをめくる様子が下の句の調子の良さに表れているようです。全てが結句の「匂ひ」に係ってゆく歌の作りに、読んでいて鼻に意識が向かいました。

  のり塩のポテトチップス一袋残して盆の客は帰りぬ  山浦久美子

 ポテトチップスのことしか言っていない思い切った上の句。なにゆえ盆にポテトチップス。なにゆえのり塩味。という謎な感じが、かえってリアルで味わいがあり、想像が広がりました。

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(文末の短歌は既作から拾ってくるので本文と直接は繋がってなかったりもしますよ。)
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