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川が好き。山も好き。
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古い家に暮らしていた頃のある時期、居間で曾祖母がいくつか布を買って縫物をしていました。何を作っているか聞いたところ、一つはわたしの浴衣だと言っていました。わたしはとてもうれしくて、出来上がるのを楽しみにしていました。
 それから出来上がったとの知らせもないまま家の建て替えがあったり曾祖母が亡くなったりしてほとんど忘れていました。
 実家の小屋の箪笥から見たことのある柄の浴衣が出て来た時、これはわたしの浴衣なのだと、譲り受けてきました。曾祖母が浴衣を縫っていたのはわたしが小学生の頃なので、10年以上も後のことです。そうして自分のクローゼットに仕舞ってからも、着る機会がないまま数年が経ちました。

 今年の七夕祭りに、浴衣を着て行こうと思い立ちました。店頭に並ぶ浴衣はどれもとてもかわいくて、欲しい柄がいっぱいです。けれども、曾祖母の浴衣を着ることにしました。
 初めて着る曾祖母の手縫いの浴衣は、店頭で手に取ったどんなすてきな浴衣より、やわらかい感じがしました。白地にほんのり赤い花の柄は少し地味ですが、わたしに似合うような気がします。もっと早く着ていればよかったな。曾祖母に浴衣姿を見てもらいたかったな。来年の夏も再来年の夏もその先の夏も、きっと曾祖母の浴衣を着ようと思いました。

 七夕祭りの郵便局の出店で、七夕の切手を買いました。ポストカードや、鈴がオマケで付いてきました。

  町に野に働き者の母なればわたしは曾祖母に育てられたり


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自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

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