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川が好き。山も好き。
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塔7月号の第7回塔新人賞にて、わたしの連作「わたしの町を君の町を」を候補作として30首掲載していただきました。選考座談会では丁寧に寄り添って読んでくださって、しみじみとありがたいです。

 短歌を詠む人には、当たり前のように良い大学を出ていたり、立派な仕事をしていたり、恵まれている人が多いと感じていました。教育への意識の薄い家系で、作業着と割烹着ばかりの環境で生まれ育ったわたしは、短歌の場ではいつもどこか気後れしています。そんなわたしの優等生ではない現実を詠みたいと、ずっと思っていました。
 選考座談会では、都会で働ている人が東北の仙台へ帰省する流れと読まれていたようですが、実は仙台で働いている人が山形へ帰省するという、もっと狭い世界の話でした。
 「君」が恋人か、恋人というほどの関係ではなく好意を寄せているぐらいでは、と読みが割れていました。以前に他の方からも、わたしの相聞歌は乾いていると評されたことがありました。短歌と関係のないことですが、恋人と出掛けた時に友人と遭遇し、既に交際一年ほどだったにもかかわらず初デートだと思われたのも、通じている話なのだと思います。初々しく見えたそうで一年も馴染んでいるように見えなかったようで、要するにわたしは気安い関係が築けないのでしょうね。わたし自身の性質の問題点が歌ににじみ出るのでした。
 恋人なのに一か月も会わないのかな、と松村さんが疑問を呈していましたが、休みの合う日にわたしが歌会に行ったから会えなくなった、というのが実情でした。わたしが優先順位を違えていれば、人生も歌も変わっていたのかもしれません。

 ちょうど去年の今頃に詠んだ歌なので、塔が届いてしばらくはいろいろ思い出して、わーっと泣いたりもしました。いつも大切なものを間違えてしまうわたしだけれど、これでよかったのだと思える日がいつか来ますように。
 あとひと月もすれば、夏も終わります。

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自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

連絡・問い合わせ:
tomomita★sage.ocn.ne.jp
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