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川が好き。山も好き。
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アパートの更新手続きの書類が届きました。
 前々回は3月中旬が期限で、普段は腰の重いわたしが奇跡的に東日本大震災の数日前に更新の手続きを済ませていました。震災後ふた月ほどは公共料金等の様々な事務処理が混乱していたため「早めに手続きしてよかったー!」とほっとしたのを覚えています。だから、前回の更新が来た時は、あれから2年になるのか、と感じ入るものがありました。それからさらに2年が経ったというのだから、月日の経つのはほんとうに早いものです。

 今の部屋に暮らして、もう15年になります。築20年だった部屋が築35年になるので、古い部屋です。震災でひび割れた壁紙もそのままで、母などは引越しを勧めてきます。
 わたしが同じ部屋に暮らし続けるのは、引越す理由がないからです。物件探しがめんどくさい。住所変更の手続きや、それにまつわる諸々の手続きがめんどくさい。部屋の荷物をまとめたり運んだりする引越しそのものがめんどくさい。そして、環境の変化は大きなストレスだから、心の弱いわたしには大きな負荷になります。
 とはいえ、ずっとこの部屋に暮らし続けたい、というわけではありません。確かに、今の住居は住みよい場所で、図書館にも近いところが気に入っているけれど、然るべき理由があれば、ぜひにとも引越したいのです。

 時々、夜道を歩いて仕事から帰宅し、ドアを開けた瞬間、「わたしは15年この部屋に帰ってきたのだ」という事実がふいに思われて、泣き崩れてしまうことがあります。普通の人は15年も一人暮らしなんて続けません。普通に生きていたら、途中で誰かと暮らし始めたりするものです。
 わたしより年上にして初めて一人暮らしになった知人も、当初はよく「さびしくておかしくなりそう」と電話をかけてきてくれましたが、数月もすれば男の人が転がり込んできて、一人暮らしではなくなっていました。

 一日の終わりに、今日もらったレシートの内容をノートに書き留め、明日のお弁当の準備をし、シャワーを浴びます。電灯は一晩中点けっぱなしのまま眠ります。常夜灯は質素な生活を営んでいるわたしの、ささやかなぜいたくです。仕事が休みの日には、洗濯や掃除などの溜まった家事をして、スーパーや八百屋さんに買い出しに行き、おかずの作り置きをします。
 そんな暮らしを、15年続けてきました。

  この部屋を出たいけれども ベランダの鉢に大葉の種を植えたり


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私も
始めまして
仙台市在住の短歌初心者です。
私もかつて学生時代から、ちょうど15年
同じアパートに居住しておりました。
>引越す理由がないからです。
理由も同様。
文を拝見して懐かしく思い、失礼ながら書き
こんでみました。
失礼致しました。
北山 2016/12/23(Fri)22:34:41 編集
Re:私も
北山さん、初めまして。
北山さんも15年同じアパートに暮らしたのですね。
と、いうことはその後にお引越しをされたのでしょうか。
わたしは、今の暮らしやアパートに仮住まいの意識があるからこそ、逆に動けないんだなと気づきました。
もう少し軽く考えればいいのかもしれないですね。
【2016/12/23 23:00】
そうですね。
おとも様

こんばんは
そうです。
歩いて10分もしない場所に引っ越しました。
かれこれ13~14年前です。
結局、学生アパートでしたので生活時間帯が
違うんですね。
後は風呂釜や給湯器が、さすがに15年も経つと
さまざま支障をきたし・・・そろそろ大家さんに
お返ししようと考えた次第。
そうですね。
わたしも前述のように漠然と思った「時」が
転居の動機だったのかも知れません。
>然るべき理由があれば、ぜひにとも
>引越したいのです。
費用の掛かる事なので何とも言えませんが
そう感じられた時が「時」なのかも知れませんね。
北山 2016/12/24(Sat)19:25:41 編集
Re:そうですね。
近くに引越しをされたのでしたら、それまでと生活が大きく変わることもないのかもしれませんね。
そういえば、給湯器、今年の初夏に老朽化のため壊れて交換になったのでした。
いつまでも後回しにできることではないのかもしれないですね。
【2016/12/25 22:12】
そうですね。
宮城県在住の歌人でコスモス所属の斉藤梢さんという方がおられます。(もちろん面識はありませんが)

仙台の北から南に転居してすこし太りて真夏となりぬ
歌集「遠浅」

七北田川流るる町に新しき姓さづかりて寒ぶりを買ふ

同歌集には、このような歌も収録されていますので
当初は仙台市泉区辺りに越されてきたのでしょう。
「寒ぶりを買ふ」に、旬の魚を選んで買うようになった。
家族を得て食材に気づかう新しい生活の活き活きとした様子が垣間見られて、個人的には好きな歌です。
そこからの引っ越しかも知れませんが、「すこし太りて」に環境の変化や生活の余裕?なども感じられる
作者の充実した生活の一首と捉えています。
私の場合は転居しても、生活圏にまったくの変化が
ありません。
そういう場所を選びましたので。
転居の話題で思い出しましたので、ご紹介して
みました。
転居が及ぼす環境の変化を求めるという思案と、人生の新たな展開まで待ってみる。
未来の展望を楽しくお考えになればよいのでは
ないでしょうか。
北山 2016/12/26(Mon)00:14:56 編集
Re:そうですね。
斉藤梢さん、わたしも面識はありませんが『遠浅』は読みました。
震災詠の印象が強いですけれど、何気ない日常の歌もとてもいいですね。
引越しに関しては、人生の転機を待ちつつ、そうした機会がこのまま訪れなかったとしても何歳になったら引越そう、と自分なりの区切りをつけようと思います。
どちらにしろ、未来が拓けてゆけばいいですね。
【2016/12/27 21:20】
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プロフィール
HN:
おとも
性別:
女性
自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

連絡・問い合わせ:
tomomita★sage.ocn.ne.jp
(★を@に変えてお送りください)
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