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川が好き。山も好き。
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高校生の頃だったと思う。一階の仏間で寝ている曾祖母が、ふいに一緒に寝ないか誘ってきた。
 その頃のわたしは二階の一人部屋にすっかり慣れ、眠りに就くまでの時間に好きな漫画を読んだりするのが楽しかった。意味もなく夜更かしもしたかった。ごく私的な一人の時間だった。
 別に、毎日一緒に寝よう、といわけでもない。たった一日のこと。それでも、わたしは曾祖母の誘いを断った。子供の頃は一緒に寝ていたこともあったとはいえ、もうお互い毎日一人で寝ているのだし、たいした願いごとのようにも思えず、軽く考えていた。

 今日、突発的に、帰省することにした。この頃、身の回りが落ち着かなくて、心がざわざわしている。母と父の間で眠りたいと思った。
 一人で眠るようになって以来、もう長いこと、一人じゃないと眠れないと思っていた。一人で眠るのは楽だった。でも、今、たぶん今だけは、一人じゃ眠れない。いい大人になってこんな子供みたいな気持ちになるとは思わなかった。或いは、いい大人になったからこそ、誰かと眠ることにやすらぎを求めたくなるのかもしれない。先日お邪魔した年上の女性が、一人暮らしで犬を飼っていたように。
 
 あの日、曾祖母が今のわたしと似たような気持ちだったかはわからない。けれど、一緒に寝てあげればよかった。たった一日でも、一緒に寝てあげればよかった。

  ふかふかの羽毛布団に沈むときみたいに心受け止められたい

***

拍手お返事はつづきからご覧ください。



>Kazu.さんへ
今は詩よりも短歌の方が主になっていますが、やっぱり本分は詩だという思いがあったので、「あなたの『歌』の本質には詩がある」と言っていただけてうれしいです。いわゆる、詩的な短歌、というのとは違うようなのですが。もともと短歌っぽい詩を書いていた、のかもしれないですね。

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自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

連絡・問い合わせ:
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