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川が好き。山も好き。
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祖母の三回忌で実家に帰ると、玄関に小松菜の花が飾ってありました。本家で収穫しそびれて花が咲いてしまったのを、畑からもらってきて飾ったのだそうです。本家のかあちゃんが自分の家でも飾ると言ったので、本家の分も切ってあげたのだとか。他にも本家のかあちゃんを病院に連れて行ったりなどずい分お世話しているようで、なんだか母から本家の話をよく聞くようになりました。
 本家、分家なんていっても枝分かれしたのが祖父の祖父の頃らしく、血縁的にはもう全然遠縁なのですが、家が隣なので親戚付き合いだけでなくご近所付き合いのようなものもあるのでしょう。わたしは祖母が亡くなってから、本家のかあちゃんを大切にしたい気持ちが深まったので、母も似たような感じなのかもしれません。

 祖母の三回忌とまとめて、大伯父の三十三回忌と大伯母の二十七回忌も執り行いました。一人ずつやってたらきりがないとはいえ、大伯母は秋、大伯父は冬だったのに、ついでに、みたいな感じでいいのかなあと思わないでもないけれども。これで当分はこうした仏事も一区切りといったところでしょうか。もういろいろ簡略化されていて、お寺のおっさますら当日は用事が入ったといって前日にお経をあげにきたくらいです。戒名も、よくよくわからないしきたりだけれども、3つの戒名を聞いてどれが誰だかわかるのが興味深いです。田舎の近所付き合いの濃さから、人柄を汲んだ名付けをしてもらえているのでしょうか。お寺を歩けば、江戸時代の年号と戒名の書かれている墓誌もあり、脈々と続く人の営みを思います。

 親戚の集まる機会では、昔は最上川に橋が架かってなかったので渡し舟で祖母が実家に帰っていたとか、その時に「おーい」と船頭を呼んだとか、牛を飼っていて育てて売っていたとか、葉タバコを作っていてうちは畑が小さいので量より質で力を入れていたとか、収穫した葉タバコをうちは機械ではなく手作業で縄で括っていたので手が真っ黒になったとか、昔の話を聞くのがおもしろいです。わたしが小さい頃に大伯父がよくわたしを連れて歩き、本家にはわたしの茶碗まであった、なんていう話は初めて聞きました。抱っこされて行ったんだろうか、手をつないで行ったんだろうか。さっぱり記憶にないし、大伯父に可愛がられていた覚えもないので、なんだか不思議な感じです。大伯父、大伯母なんていっても生前はじいちゃん、ばあちゃんと呼んでいました。特にわたしはばあちゃん子でした。母方の祖母、父方の祖母と、大伯母と、わたしには3人のばあちゃんがいて、3人とも好きでした。
 大伯母は悲しいこともあった人だけれども、子を産まずして孫を持てたなんていいなあ、なんてこの頃はうらやましくも思います。

  今さらに迷信だとは思われず年寄りっ子の三文安は/塔2014年9月号





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おとも
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自己紹介:
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/本体¥2000)

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