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川が好き。山も好き。
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  浮かんでは消えゆく言葉言葉ほどあてにならないものもなくって

  言葉ほどあてにならないものもなくそれでも言えばよかった言葉

  素直にはなれないことは嘘吐きということ自分の言葉がこわい

  しあわせな時は素直にしあわせな歌を詠みなよ過去のわたしよ

  ひとりごとがほんとうにひとりごとならば言葉はさびしい各駅停車


***

 五首目の歌を、百葉集に載せていただきました。百葉集に載せていただいたのは初めてです。うれしいです。
 
 歌を詠んだ、というより、気持ちを五七五七七に当てはめた、といった感じで、くるしい。

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折に触れて震災のことは書いてきたし、一年目、二年目もこの日は更新してきたので、義務のような気持ちで、文字を打ってはみるものの、気持ちがまとまらない。
 不思議、ほんとうに震災直後は不安だけど元気だった。がんばらなきゃがんばらなきゃって。当日は自分がこんなにも一人ぼっちな気はしてなかったから。帰る場所も待っててくれる人もいたような気がしてたから。みんなでがんばろうって。

 つらい。震災以降の不調と、震災以前から抱えていて震災で浮き彫りになったわたし自身の心のずれや思い違い、もう頭も心もいっぱいいっぱいで。短歌にすることで整理をしたり、そうした短歌が褒めてもらえることで自分を見失わないようにできていたところも、以前はあったのだけど、今はそういうものでも埋まらないみたい。なんだかんだいって去年の記事はまだ余裕あったよね。つらかったけど、これからはこんなふうに生きてこうって。前に進んでゆけるものと思ってたのに。

 手を握りたい。

 震災以前のわたしはどうして自分の中のそうした感情に気づかなかったんだろう。ずっと一人で、ほんとうに一人で、そうした安心感を知らずにいた時期が長かったから。知らないぬくもりは欲せない。知らないって、かなしいことだ。気づいてたらよかった。そしたらまるく収まったのに。わたしが自分の本心に気づかなかったから、わたしのせい。
 ろうそくの頼りない明かりの中、避難所で知らない人達にまぎれ一人で眠った夜も昨日のことみたいだ。
 こわい夢を見るから、目が覚めたときとなりに心ゆるせるひとがいてほしい。寄り添って眠りたい。人が番う理由が今は切にわかる。みんな同じ気持ちなんだって。わたしが震災前まで知らなかっただけで。

 読んでもらうためじゃなくて吐き出したいだけの文はここには書きたくないのに。そういう思いは短歌の形にすれば見られものになるかもしれないのに。歌を詠む力も残ってない。今日だけはゆるして。後で恥ずかしくなって消したくなると思うけど、消さないことにするね。今も恥ずかしい。
 仕事にも、人にも、短歌にも、愛されていた時、愛されるような自分だったよ。でも今はそうじゃない。そうじゃなくなってしまった。

 一人じゃ生きてゆけない。一人じゃ生きてゆけないよ。たすけて。きて。



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『また巡り来る花の季節は 震災を詠む』(講談社)という本に短歌を掲載していただきました。短歌と短文、本の帯にも短歌を載せていただいているようです。まだ現物を見ていないのですが。昨年のハートネットTV「震災を詠む2013」の書籍化になります。タイトル、いいですね。

  「たすけて」と言えれば会えたかもしれぬ夜に一人で過ごす避難所

 こうした歌を、詠まずに済めばよかった、と思うのです。被災した当時、なんであんなに自分の不安を押し殺して気丈にふるまえたのか、不思議でなりません。避難所でも、自宅でも、余震の中一人で、どうして誰とも言葉を交わさず一人で過ごせてしまったのか。
 あの頃は、自分が無事であるということがただただ幸運でありがたくて、わたし個人のかなしみというものを見失っていたのかもしれません。また「震災のごたごたが落ち着いたら、以前のような日常に戻るから、だから今は少しつらくても大丈夫」そんなことを信じていたのでしょう。2011年の春、わたしは変に元気でした。

 三年経って、傷は癒えるどころか膿んできたような気さえします。あ日のまま、立ち止まったまま、前に進めないのです。
 震災前のわたしはしあわせで、それまでの人生の中で一番しあわせで、好きな仕事ができて好きな場所に行けて好きな人達に囲まれて、このまましあわせになってゆくものだと思っていました。

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  酔ったらばあらわれるという正体を酔えないゆえに一生知れず

  酔えもせず吐いてしまいぬああわたしどこへも逃げる場所がなくって

  震災の前に誰かが置いてった梅酒ふた瓶まだ手をつけず

  溺れたりきっとするから前もって酒の飲めないわたしと思う

  人生はなぞらなくてもいい幾ら石垣りんが好きだからって

  過去のことばかり綴ってある日記たしかにわたしが書いたのだけど

  バスのなか角田光代を読みており明日は予定のない日曜日

***

 先々月、先月に続き、今月も新樹集に載せていただきました。なんだかほんとうにありがたいです。以降は欠詠が続くのだけれど。

 選歌後記で、石垣りんは働きながら詩を書いた人である、というような説明があり、五首目の歌が働きながら詩を書きたくない、というように読めてしまうかも。確かに定年まで勤め上げた詩人だけれど、そんなふうに一つの仕事を慎ましやかに続けられたことは、むしろあこがれ。わたしにとって石垣りんの印象で大きいのは、(意思を持って)生涯独身を通した、というところ。わたしは長いこと恋愛に抵抗感があって、以前のそうした頑なな心を悔いているのでした。今はもう、素直にしあわせになってゆきたいと思うのです。

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神様を信じていないわれなれば「おかあさーん」って泣くほかはなく

  川の字の真ん中で眠りたくなって高速バスに乗り込む夕べ

  父が日記見せてくれたり声にせぬ仕事の愚痴が並びておりぬ

  チクショーと父が叫ぶを聞いたことなし日記には何度書かれど

  もう母も父も故郷も悪者にしない川の字の真ん中に居て
 
  深夜二時川の字の中を抜け出して子供に戻れぬ身を自室へと

  つらくない仕事はないしつらくない大人もいない日記を閉じる

  歩道橋を慣れない靴で渡りおり これでよかったこれでよかった

***

 先月に続き、今月の新樹集に載せていただきました。入会から一年で三度も新樹集に載せていただけるなんて、ありがたいです。
 
 しあわせな歌を詠いたい。しあわせな歌を詠えるような人生を送りたい。歌は褒めてもらえなくていいから。正直なところ、「これでよかった」とは思えていない。

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あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
 今年の年末年始は帰省して久しぶりに家族と過ごしました。
 年末年始の休みを自宅で過ごすことを話したら「そんなふうに過ごしてると頭おかしくなるよ!」と言われたことがあります。その人にとっては軽い気持ちで発した言葉なのでしょうけれど、当時のわたしは「そんな一般的には頭がおかしくなるようなことが自分にとっての普通だなんて」と、カルチャーショックを受けた覚えがあります。年末年始も仕事だった時期が長かった事情もありますが。尤も、今となっては、わたしもそんな余計なことをわざわざ人に言わなくてもよかったのだ、とも省みています。自分のことをしゃべり過ぎるのはどうにもかしこくない、ということに遅ればせながら気づいたのでした。言葉ほど不確かなものもなくて。
 こうして久しぶりに家族とお正月を迎えて、よかったです。生餅の入った母のお雑煮も久しぶりに食べました。
 
 今年は、というか、今年も、というか、今年こそ自分の心を大切にしていきたいです。自分の心の大切に仕方も間違えないようにしたいです。

 さて、今年は雑煮を作らなかったので、これまでの雑煮写真を振り返ってみましょう。







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 今年の年末年始は実家で過ごすことにしました。何年ぶりでしょう。
 今年は、短歌結社に所属して歌会に参加し始めたり、そうした流れで気仙沼の被災地を訪れたり、NHKハートネットTVの震災特別番組で入選してテレビ出演したり、短歌においては今までにない経験ができました。
 自分の心の在り方について、言葉を発するということについて、根本的に考えさせられたのも今年です。それは決して楽しいものではありませんでしたが、この先の人生のために必要なことだったのだと思えるようになれたらいいな、と思います。
 それでも、他人に対して「おめでとう」を言える機会が多かったことは、うれしい一年でした。

 ブログも今年から心機一転しましたが、訪れてくださった皆さま、ありがとうございました。良いお年をお迎えくださいね。

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なぐさめるふりしてなぐさめられに行く袋ラーメン三つ携え

  助手席と運転席の真ん中にいつもちょこんといるマルチーズ

  寄る辺ないお茶の間に居てなまぬるい犬の舌をもゆるしてしまう

  痩せたよね痩せましたよね食べなきゃね一人でないから進む夕飯

  犬くさくなって帰りぬ犬を抱くやすらぎをこの身に覚えれば

  大切な友なればこそこれ以上かけ込み寺にしちゃいけないね

***

 新樹集に載せていただきました。ありがたいです。もっと明るくてしあわせな歌が詠みたいとは思うのだけれど。
 年鑑回顧座談会にて宮地さんに取り上げていただけたのもうれしかったです。

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 今日のGoogleのトップページがすてき。小津安二郎生誕110年にして、没後50年とのこと。全部見たわけではないけれど、小津安二郎映画は好き。数年前にNHKの「知るを楽しむ」で落語家さんが小津映画の解説をするという番組も見てたのです。

 今から作りたい映画は、俳句の世界、たとえば、連句のようなもの。ストーリーはないが何気ない風景描写に、詩情が感じられるようなもの(「週刊新潮」1959年3月23日)

 小津安二郎が俳句を嗜んでいたということを知り、なるほど、と思った。小津安二郎映画の、派手でない日常生活を切り取ったような世界観や、心情表現に抑制の効いた淡々とした雰囲気というか、ものごとを俯瞰で見ているような感じが好きだったのだけれど、それは確かに俳句っぽい。

 「好きな映画は?」と聞かれたら、いつも『麦秋』と答えている。名作『東京物語』も好きだけれど、『麦秋』に惹かれるのは、いろいろ身につまされるからだろうか。『麦秋』で原節子演じる紀子と近い境遇にいる今のわたしだからこそ、沁みる台詞のいくつもあるのだった。そんなことを考えていたら、おもしろい俳句を見つけた。

  原節子・小津安二郎麦の秋 / 吉田汀史

 台詞と言えば、小津安二郎映画には「今が一番いい時」というような台詞がいくつもの作品に出てくるのが印象に残っている。時は留まってくれない。かたちあるものはいつかこわれる。色は匂えど散りぬるを。全ては無常であるということ。そうした日本的な諦観がおだやかに語られると、なんとも言えずせつない。
 今が一番いい時かもしれない、そんなふうに日々がわたしにもあったかもしれない。けれど、これから訪れるかもしれない。いい時も、そうでない時も、全ては無常なのだから。

  争を大災に置き換えて『東京物語』リメイクされたり 

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 妹から宅配便が届いた。新婚旅行のお土産と、結婚式に寄せたウェルカムボードのお礼とのこと。お菓子やコスメと一緒に「処分しようかと思ってたけど読むかなと思って」と文庫本の小説が数冊入っていた。本好きなのでうれしい。

 同封されていた5冊のうちの3冊が、彼氏のいないアラサー独身女の悲哀、といったジャンルだった。
 い や が ら せ か !
 、というわけでなく、わたしがこういった傾向のものを読むと妹は知っているのだった。もともと妹とわたしの読書の好みは近く、以前会った際も芥川賞作家・西村賢太の可愛さについて熱く語り合った。姉妹して、ちょっとダメな感じの人間の物語に惹かれるのだった。とはいえ、一途な10年愛を実らせた妹が、なんでまたモテない女子の恋愛小説をこんなに読んでいたのだろう。妹なりに、なにか思うことでもあったのだろうか。
 ちなみに、残りの二冊は、夫の不倫によって離婚する夫婦の小説(この本はわたしも既に所持していた)と、社会の底辺で生きる市井の人々のドキュメンタリー短編集であった。
 早速読み進めてみたものの、思いのほかつらくなってしまった。別に、悲劇的な展開なんてどこにもなく、みんな一生懸命生きてるって、そういう話ばかりなのに。以前は好んで読んでいたようなものばかりなのに。 

 少し遡り、妹の結婚式へ向かう新幹線の中でのこと。道中に読もうと、一冊の文庫本を鞄に忍ばせていた。けれど、いざ読もうとしたらつらくて読めなかった。
 大好きな小説だった。大好きな作家の、映画化もされ世間的にも名の知れた名作短編集である。けれども、この小説で語られるような、貧民街で人間臭さを剥き出しに生きる庶民の人生のかなしさと愛おしさに、最近は少し目を背けたいような思いでいることに気づいた。
 泣きながら何度も繰り返して読んでいた頃のわたしの心を思った。「お勧めの本を貸して」と言われ、大切な思いでこの一冊を選んで貸したこともあった。「全部は読めなかった」と返してきた人の心を思った。

 世渡り下手で不器用な、世間的に落ちこぼれた人達に対する、作者の優しい視線の感じられる話が好きだった。ずっと好きだった。
 けれど、心に少しでも余裕がある時でないと、しみったれた話を受け止められないのかもしれない。
 今は、できれば底抜けにハッピーな話が読みたい。

   職安の二十八人待ちの間に周五郎読み泣くなよ、わたし

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HN:
おとも
性別:
女性
自己紹介:
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/本体¥2000)

連絡・問い合わせ:
tomomita★sage.ocn.ne.jp
(★を@に変えてお送りください)
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