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川が好き。山も好き。
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なにげなく腕に触れられわたくしがわたくしになる森林公園

  『サラダ記念日』手に取る君の指の毛をながめていたり文学館に

  ありがちに展望台で夜景見てありがちに口吸われておりぬ

  心病むおとうとを持つ姉であることをいつまで黙っていよう

  君からのメールの返事短くて少しうすめのカルピスを飲む

  「思い出ができただけでもよかったよ」すべてをゆるす魔法の言葉

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仙台文学館で特別展「竹久夢二・詩と絵の世界――愛と、ロマンと、漂泊と」を見てきました。夢二作詞の名曲「宵待草」の流れる展示会場で、大正ロマンあふれる夢二の美人画を堪能しました。モデルとなった、夢二に関わりのあった3人の女性などの写真もあって、興味深かったです。離婚した元妻との間に離婚後にも子供を設けるとか!

 お食事処「杜の小径」の特別メニューは、牛肉の煮物、鰯の南蛮漬け、ご飯、かぼちゃのポタージュ、ぶどうジュース等ほんのんり西洋風の定食。夢二の日記を元にしたそうです。美味しくて、期間限定なのが惜しいくらい何度も食べたくなる味でした。

 資料室の一角での「梶原さい子歌集『リアス/椿』短歌と写真」という展示も見てきました。『リアス/椿』はほんとうに大切にしたい歌集で、さい子さんと同じく気仙沼出身の写真家である佐々木隆二さんの写真もとてもすてきでした。こちらは10月末までの展示です。

 文学館の帰りは台原森林公園を散歩して一回りしました。スカートを履いていて、夏も終わりと思い虫除け対策をせずにいたら、脚を5箇所ぐらい虫に食われてしまいました。旭ヶ丘駅近くまで来ると、金木犀の香りがしました。もうそんな季節です。


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包丁の音

  「また姉妹で温泉行こう!」婚約を伏せた賀状の添え書きなりき

  十年を待たせて腹をくくりたるごとくいもうとは二十九で嫁す

  いもうとに先を越された姉なるをネタの一つとして笑いたり

  両親へ「子育て終了証」としてアルバム送りたるいもうとは

  「おねーちゃんへ」御車代として熨斗に貼られていたり黄色の付箋

  いつまでも帰る場所ではないような実家で作るナスの肉詰め

  犬のために生きてるような友がいて未だ嫁がず十四歳上

  寝そべったその身をひねり手術痕舐めているなり雨の雄犬

  くちびるで舌で触れるということの、あなたの(わたしの)獣を怖る

  あれはどこのじいさんと思えば父なりき畑で鍬を振るうすがたの
 
  たぶん行くことはもうない父親の実家にあった鰹節削り
 
  当たり前のように誰かがいることの未知まぶしくて大根を煮る
 
  包丁の音であなたを待たせてた時間をわたし仕合わせと呼ぶね

  独り居の友ことごとく犬猫と暮らしておれどわたしは飼わず

***

 特別作品に掲載していただけた連作。三井さんの評によれば「家族との微妙な感情をあまり深刻にならず、さりげなく描いている」とのこと。

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母子家庭の母子受講料免除なればシングルマザーの介護士多し

  元営業元販売員元編集元警察官現皆介護士

  タミィは施設(※ルビ ここ)のパティシエ!なんて褒めそやされ仕事が楽しかったあの頃

  お下がりの介護ベッドにシルバーカー使いて祖母の八十八歳

  面接に行けば必ず「結婚のご予定は?」って聞かれる三十路

  長電話するために長電話しているような長電話なりけり

  幸せはきれいな寝巻きで眠ること取り込みたての白いシーツで

  雨の日がああ待ち遠しい新しく赤い雨傘購いしため

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  女性薬「命の母」のほの甘く泣きたいような子宮の色よ

  病気してばかりいるから子が産めぬと祖母が笑ってわたしも笑う

  人生に「もしも」はなくて黒ほおずきアパート跡より根ごと引き抜く

  生物としての正しい形なり子を宿したるいもうとの腹 

  百均で鉢と土とを購いてふるさとの花、紅花をを蒔く

  両の手に歌集を借りて千葉さんのマンション出れば夕焼け雲よ

  低反発枕になろう もしいつかわたしに愛しいひとができたら


***

 わたしの自宅の隣のアパート跡に、自生していた黒ほおずきを、根ごと引き抜いたのは母です。そのまま実家に持ち帰り、植え替えていました。お盆に帰った際には、きれいな花を咲かせていました。

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8月1日2日の土日は温泉旅行に行ってきました。行き先は鳴子です。鳴子温泉といえば、鳴子こけし。鳴子温泉街は、橋や郵便ポスト、電話ボックスなどあらゆるところにこけしがいっぱいのすてきな場所でした。こけし販売店もたくさんある中、日本こけし館へ行ってきました。鳴子こけしの他に、他の地方の伝統こけしの展示や、高松宮殿下秘蔵のこけし展示などもありました。わたしも一つ鳴子こけしを購入。こけしの顔出しパネルがあり、顔出しパネル大好きなわたしは早速撮ってもらいました。来年の年賀状はこの写真に決定です。



 鳴子からの帰りに、三本木のひまわりの丘に寄ってみました。満開のひまわり畑と青空、絵葉書のような夏らしい光景でした。人もたくさんいてにぎやかでした。暑かったので、かき氷がおいしい。ひまわりの顔出しパネルがあり、そこでも写真を撮ってもらいました。夏らしい思い出ができてよかった一泊二日の小旅行でした。

 いつまでも覚えていよう枯れかけのひまわり畑と冬木のさくら

(と、いう歌を過去に詠んだのは外した時期にひまわりの丘に来てしまった経験から。満開のひまわりを見ることができたので、上書きします。)


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わたしの職場の責任者であるセンター長が、わたしと同じ年齢だと知った。堂々とした振る舞いや貫禄から、てっきり一回りくらい上かと思っていた。年齢の割には、ちょっとチャラいんじゃないかとも思っていた。実年齢がわかれば、あの妙な軽さも、まあそんなものか、と納得する。それにしてもびっくりした。
 一番の長たる長が同じ年齢なのだもの、二番手のあの上司も、普段頼りにしているあの上司も、少し厳しいあの上司も、同年代だったり年下だったりするのでしょう。年相応の出世もせずに、いつまでも下っ端をふらふらしているわたしという人生を思う。

 そういえば、小学校や中学校、高校でご指導いただいた先生方の当時の年齢も、思えばずい分追い越してしまった。子供の目からしたら先生達はずっとずっと大人に見えて、あの頃のあの先生が20代だった、なんて信じられない。わたしが20代だったら、そんなふうにたくさんの子供達をまとめることなんてできない。30代で未だ独身の先生を、行き遅れているなんて普通に思っていた。今思えば、それくらいめずらしくも恥でもなんともないのに。

 時々、20代かと問われる。もちろん、お世辞も含まれていると思うけれど。ただ、わたしの場合は若く見えたとしても、それが若さなのではなく、人並みの人生経験を積んでないということゆえのおぼこさなのではないか。悪い意味で、年齢不詳。つまりは、「子供おばさん」なる不気味な存在なのではないか、わたしは。

 わたしの意識も変化してきている。30代前半の頃は、なぜかもう40代になってしまったような気分で、青春も過ぎ去り人生も終わったように感じられて、捨て鉢になっていた。
 今は何故か30歳ぐらいの気分で生きている。まだまだ未来があると思えている。なんで数年前あんなに絶望していたのか不思議。視野が狭かったのかもしれない。様々な生き方のあることを知って、見える世界が広がってきてから、これからのことも大丈夫だと思えるようになった。今は、毎日が楽しい。

  震災を機に不妊治療始めたる当時の上司の齢に並びぬ

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7月の海の日を含んだ3連休のうち2日も仕事だったのですが、合間の1日に、仙台文学館の「11ぴきのねこと馬場のぼるの世界展」を見に行ってきました。
 『11ぴきのねこ』シリーズは子供の頃に読んだ絵本です。好奇心旺盛で、貪欲で、ちょっとずるいところもあるけれど、なぜか憎めない11ぴきのねこたちが繰り広げる物語。なつかしくて、かわいくて、あらためてファンになっちゃいました。馬場のぼるが青森生まれの東北の人だということは初めて知りました。
 夏休みの子供向けの特別展だったようで、連休中ということもあり、子供達でにぎやか。ねこのお面作りなどもワークショップなども行われていて、かぶっている子供達もいました。販売されていたねこのぬいぐるみ、買えばよかったな、と帰ってから後悔。

 展示を見終えた後は、資料室で短歌の結社誌を読みました。仙台文学館には書店では売っていないような結社誌が置いてあるのです。自分が結社に入る前にも、いろんな結社誌の見本を取り寄せる手間を、それで省けました。それから「短歌研究」の最新号や「ダ・ヴィンチ」の又吉さんの特集号(先日映画館で見た「海街diary」の特集もあってうれしかった)など、文芸誌のバックナンバーを読んだりしました。

 文学館内の食堂「杜の小径」で初めて食事もしました。今夏限定のトマトのパスタをいただきました。特別展にちなんだ限定メニューは、馬場のぼる作品でもおなじみのコロッケとパンケーキで、子供達に好評だったようです。


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颯爽と車両を過ぎる女性車掌の髪くくりたる黒色のシュシュ

  伝えないことには伝わらないことがいっぱいあって降り積もる雪

  受給資格満たせなければいただけぬ手当いくつもありて届かず

  「明日 勇気」 ハローワークの求職の申込書の記入例の名

  職安の帰りに五円にぎりしめ寄った神社の桜のつぼみ

  お雛さま、お内裏さまだけ飾ったと母のメールのピンボケ写真

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今の仕事では、パソコンの画面上でたくさんの人の名前を目にします。カナがなければ読めないような名前や、意外な漢字の当てられている名前もよくあります。
 時には、電話口で漢字ではどう書くのか伺ったりもします。熟語の何という示し方だったり、部首を使って説明してくれたり、自分の名前の表現の仕方を興味深く聞いています。
 たくさんの名前に触れる度、その名前を付けた人のことを思います。名前は人生で一番最初のプレゼント、と言われているように、その人その人なりの願いの込められた名付けなのだろうな、と思いを馳せることがおもしろくあります。

 先日、妊娠中だった妹が無事に出産しました。そして、あろうことか産まれた子にキラキラネームを付けてしまいました。
 妊婦時代から「この子は<り>だ! ってひらめいたの。<り>の付く名前にする」などと言っていたので危惧はしていたのだけれども。「だったら江戸時代の冒険家、間宮林蔵にちなんで<林蔵>と名付けたらどう?」とわたしは精いっぱいの軌道修正を試みていたのだけれども。
 変わった響きで画数の多い字面の名前を前に、「キラキラネームを付けたんだね…」とわたしが言うと、「キラキラネームだろうか。ギリギリ大丈夫だと思ったんだけど」と、妹はどこか麻痺している様子です。やっぱり産前産後は頭がお花畑になってキラキラネームを付けてしまうといううわさはほんとうだったのでしょうか。まだ赤ん坊だからかわいいものの、彼が青年になり、おっさんになってゆくことを思えば、キラキラした名前に風貌がついてゆけるのだろうか、と伯母ながら心配です。

 わたしは、子を生む予定も全くないのに、もしも名付けをする機会があったら、産まれたその日の季節や天気にちなんだ名前、漢字はシンプルに間違えられることなく読めるもの、説明のしやすいもの、と決めております。

  筆名を決めかねぬままはや幾年おのれに込める願いなどなく

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HN:
おとも
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女性
自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

連絡・問い合わせ:
tomomita★sage.ocn.ne.jp
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