川が好き。山も好き。
また家が壊されている十五年わたしが通った道だ、一人で
余震なり臨時ニュースの声も灯も揺れ湯あがりの身は冷えてゆく
この部屋を出たいけれども ベランダの鉢に大葉の種を植えたり
「大安だー」と祖母はよろこぶ初めてのデイサービスに赴ける日を
牛乳を買いに自転車走らせるわたしの肩にてんとう虫は
***
今月号の「特集 マンガと短歌」にもエッセイと短歌を載せていただきました。漫画にまつわる、活字にはなってなかった短歌があり、過去作なので今さら月詠に出す感じでもなくて、でも思い入れのある一首だったので、こうした機会があってよかったです。皆さんのエッセイも愛にあふれて楽しく読みました。
選歌欄評で、川上さんにほうれい線の歌の評をいただきました。思いのほか寄り添って読んでいただきありがたいです。
余震なり臨時ニュースの声も灯も揺れ湯あがりの身は冷えてゆく
この部屋を出たいけれども ベランダの鉢に大葉の種を植えたり
「大安だー」と祖母はよろこぶ初めてのデイサービスに赴ける日を
牛乳を買いに自転車走らせるわたしの肩にてんとう虫は
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今月号の「特集 マンガと短歌」にもエッセイと短歌を載せていただきました。漫画にまつわる、活字にはなってなかった短歌があり、過去作なので今さら月詠に出す感じでもなくて、でも思い入れのある一首だったので、こうした機会があってよかったです。皆さんのエッセイも愛にあふれて楽しく読みました。
選歌欄評で、川上さんにほうれい線の歌の評をいただきました。思いのほか寄り添って読んでいただきありがたいです。
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最近、更新が停滞しております。と、いうのもわけがありまして、パソコンが古いせいか幾つかのサイトでは表示が崩れてしまい、ブログの提供元もその一つなのでした。入力ができないのです。
携帯電話のメール投稿もできるようにはしてあるものの、わたしはガラケーであり、これも文字打ちが大変なのでした。
この手でこの目で触れるものを大事にしたい、インターネットが当たり前という環境にはなじみたくない、と常日頃思っているわたしではありますが、やっぱり今の時代はネット不調だと不便なこともあるとしみじみ身に沁みる日々です。ネットでしか確認できない給与明細は見られないし、夏の旅行の宿泊先のネット予約フォームが表示されず、お忙しい中を電話で対応して頂いたり、自分だけでなく相手方にもお手数かけてしまうのを心苦しく感じます。パソコンを新調すればいいだけなので、大きな買い物をする余裕のできるのを待っているところです。
読みに来てくださる皆さま、拍手を押してくださる皆さま、ありがとうございます。
携帯電話のメール投稿もできるようにはしてあるものの、わたしはガラケーであり、これも文字打ちが大変なのでした。
この手でこの目で触れるものを大事にしたい、インターネットが当たり前という環境にはなじみたくない、と常日頃思っているわたしではありますが、やっぱり今の時代はネット不調だと不便なこともあるとしみじみ身に沁みる日々です。ネットでしか確認できない給与明細は見られないし、夏の旅行の宿泊先のネット予約フォームが表示されず、お忙しい中を電話で対応して頂いたり、自分だけでなく相手方にもお手数かけてしまうのを心苦しく感じます。パソコンを新調すればいいだけなので、大きな買い物をする余裕のできるのを待っているところです。
読みに来てくださる皆さま、拍手を押してくださる皆さま、ありがとうございます。
地下鉄の窓に映れるわたくしのほうれい線よ三月四日
誰の手でもいいわけじゃない誰かの手を握りたいのは確かだけれど
ヘリコプターの音ひびきおり五年目の三月十一日仙台の朝
捜されている人がいて一人暮らしのわたしは一人部屋片付ける
五年目の三月十一日ゴミ出しを済ませひねもすテレビを見てた
異常無しと診断されるばかりなり震災より続く月経不順
忘れるという復興もありましょう わたしは忘れ生きてゆきます
***
江戸雪選歌欄評、わたしの担当は今月号までです。評を書くにあたり自分で決めていたことが二つありました。一つは「作中主体」「主体」という言葉を使わずに、「作者」と言い張ること。もう一つは、詠われていることは実景、実体験だと決め付けること。そんな感じで、評というより詠われている場面の感想のようなところもありましたが、それは「この場面の切り取り方、いいなあ」と思って選歌していたのでした。文法、修辞などはほんとうにわからないので、毎月いっぱいいっぱいでしたが、良い経験でした。半年間お読みいただきありがとうございました。
誰の手でもいいわけじゃない誰かの手を握りたいのは確かだけれど
ヘリコプターの音ひびきおり五年目の三月十一日仙台の朝
捜されている人がいて一人暮らしのわたしは一人部屋片付ける
五年目の三月十一日ゴミ出しを済ませひねもすテレビを見てた
異常無しと診断されるばかりなり震災より続く月経不順
忘れるという復興もありましょう わたしは忘れ生きてゆきます
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江戸雪選歌欄評、わたしの担当は今月号までです。評を書くにあたり自分で決めていたことが二つありました。一つは「作中主体」「主体」という言葉を使わずに、「作者」と言い張ること。もう一つは、詠われていることは実景、実体験だと決め付けること。そんな感じで、評というより詠われている場面の感想のようなところもありましたが、それは「この場面の切り取り方、いいなあ」と思って選歌していたのでした。文法、修辞などはほんとうにわからないので、毎月いっぱいいっぱいでしたが、良い経験でした。半年間お読みいただきありがとうございました。
ふるさとを失くしたような寂しさだ本家の父ちゃん死んでしまった
ランニングシャツ着ていつも畑に居た本家の父ちゃん死んでしまった
一昨年の盆に本家の父ちゃんとゼリーを食べたのが最後なり
血縁はなくて本家の父ちゃんのお葬式には行かないままに
われの持つ一番高い洋服は喪服 社割で一八〇〇〇円
奥羽山脈越えた向こうの農村の葬列を思う雪の降る日に
笑い顔だけしか思い出せないやいつも笑っていた人だから
***
親戚でもなく単なる近所付き合いでもない本家とか分家とかいう繋がりは、わたし達の世代ではもうすっかり薄くなっています。本家の父ちゃん母ちゃんまでは行き来もありましたが、その50代の息子さんとなるとわたしはほとんど面識がありません。だからこそ、いつか消えてゆく言葉を、詠んで残しておきたく思うのでした。
ランニングシャツ着ていつも畑に居た本家の父ちゃん死んでしまった
一昨年の盆に本家の父ちゃんとゼリーを食べたのが最後なり
血縁はなくて本家の父ちゃんのお葬式には行かないままに
われの持つ一番高い洋服は喪服 社割で一八〇〇〇円
奥羽山脈越えた向こうの農村の葬列を思う雪の降る日に
笑い顔だけしか思い出せないやいつも笑っていた人だから
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親戚でもなく単なる近所付き合いでもない本家とか分家とかいう繋がりは、わたし達の世代ではもうすっかり薄くなっています。本家の父ちゃん母ちゃんまでは行き来もありましたが、その50代の息子さんとなるとわたしはほとんど面識がありません。だからこそ、いつか消えてゆく言葉を、詠んで残しておきたく思うのでした。
映画「家族はつらいよ」を見てきました。山田洋次監督による、小津安二郎映画「東京物語」のオマージュ作品が2012年の「東京家族」、その同キャストによる新作喜劇です。橋爪功さん演じるお父さんと、吉行和子さん演じるお母さんの熟年離婚をめぐる一家の大騒動。長男は西村雅彦さん、そのお嫁さんが夏川結衣さん。長女に中嶋朋子さん、夫は林家正蔵さん。次男は妻夫木聡さん、恋人が蒼井優さん。音楽は久石譲さんです。
わたし、今年見た映画のベスト1はこれに決めました。人物それぞれに人間味があり、それゆえただようペーソス感がたまらない。いちいち小ネタが効いていたり、山田洋次監督の代表作「男はつらいよ」がちゃっかり宣伝されていたり(映画館にリバイバル上映としてポスターが貼ってある、家にDVDが揃ってある等)、「男はつらいよ」のテーマ曲が歌われたりもしました。「東京物語」に重ねた場面ではしんみりしつつ、ひたすら笑いっぱなしの108分でした。館内も、笑い声やツッコミの声が絶えず、楽しさをみんなで分け合えたような思いがしました。とても愉快な気分でした。
今年これからもいくつか映画を見るでしょうけれど、たぶんわたしはこの映画が一番好きです。
わたし、今年見た映画のベスト1はこれに決めました。人物それぞれに人間味があり、それゆえただようペーソス感がたまらない。いちいち小ネタが効いていたり、山田洋次監督の代表作「男はつらいよ」がちゃっかり宣伝されていたり(映画館にリバイバル上映としてポスターが貼ってある、家にDVDが揃ってある等)、「男はつらいよ」のテーマ曲が歌われたりもしました。「東京物語」に重ねた場面ではしんみりしつつ、ひたすら笑いっぱなしの108分でした。館内も、笑い声やツッコミの声が絶えず、楽しさをみんなで分け合えたような思いがしました。とても愉快な気分でした。
今年これからもいくつか映画を見るでしょうけれど、たぶんわたしはこの映画が一番好きです。
ヘリコプターの音が聞こえる。行方不明者の、5年目の捜索だろうか。2011年3月、震災の頃も、ヘリコプターの音がずっと鳴っていたから、ヘリコプターの音は不安な気持ちを呼び起こす。
職場で被災して、その日は職場に泊まって、翌日に自宅に帰された。一人暮らしの自宅アパートは、足の踏み場もないほど散乱していた。冷蔵庫は廊下の真ん中に出てきていた。購入の際に大の男2人がかりで配達してもらった洗濯機は倒れていた。スチールラックや本棚は元の場所とは違う場所に移動していて、すっからかんになった中身は全部床の上に散らばっていた。電話が通じなくて誰とも連絡のつかない中、独りで片づけをした。水道が止まっていてトイレも使えず、区役所や文化センターまで用を足しに行った。ひび割れた窓を、余震に備えて開けたままにしておく。隙間から、冷たい風が入り込む。雪が降っていた。携帯電話のメールを何度も打っては送信ボタンを押したけれど、電波が届かず送られなかった。
あれから5年。やっと、わたしの震災が遠くなってきたのを感じる。過去よりも、今、目の前のことで気持ちが忙しい。去年まで抱いていた、「わたしだって被災したんだから!」という思いは、もうない。ずいぶん楽になった。努力もしたのだった。仕事の業種や働き方を変えたり、意識して外へ出たりした。新しい世界に目を向けるようにした。やっと、ここまできた、と思う。やっと、今を生きられるようになった。
よく耳にする「あの日を忘れないで」というフレーズ。けれども、被災当事者の人は、忘れてもいいような気もする。つらい気持ちをずっと抱えていなさい、なんて、とても言えない。
今年の3月11日は晴れているので、洗濯をした。震災直後は、いろいろなうわさがあって洗濯物を外に干すのがためらわれていたことを思い出す。まだ外で子供を遊ばせない地域もあると聞く。わたしはもうどうでもよくなり、ベランダに白いシーツを広げる。
職場で被災して、その日は職場に泊まって、翌日に自宅に帰された。一人暮らしの自宅アパートは、足の踏み場もないほど散乱していた。冷蔵庫は廊下の真ん中に出てきていた。購入の際に大の男2人がかりで配達してもらった洗濯機は倒れていた。スチールラックや本棚は元の場所とは違う場所に移動していて、すっからかんになった中身は全部床の上に散らばっていた。電話が通じなくて誰とも連絡のつかない中、独りで片づけをした。水道が止まっていてトイレも使えず、区役所や文化センターまで用を足しに行った。ひび割れた窓を、余震に備えて開けたままにしておく。隙間から、冷たい風が入り込む。雪が降っていた。携帯電話のメールを何度も打っては送信ボタンを押したけれど、電波が届かず送られなかった。
あれから5年。やっと、わたしの震災が遠くなってきたのを感じる。過去よりも、今、目の前のことで気持ちが忙しい。去年まで抱いていた、「わたしだって被災したんだから!」という思いは、もうない。ずいぶん楽になった。努力もしたのだった。仕事の業種や働き方を変えたり、意識して外へ出たりした。新しい世界に目を向けるようにした。やっと、ここまできた、と思う。やっと、今を生きられるようになった。
よく耳にする「あの日を忘れないで」というフレーズ。けれども、被災当事者の人は、忘れてもいいような気もする。つらい気持ちをずっと抱えていなさい、なんて、とても言えない。
今年の3月11日は晴れているので、洗濯をした。震災直後は、いろいろなうわさがあって洗濯物を外に干すのがためらわれていたことを思い出す。まだ外で子供を遊ばせない地域もあると聞く。わたしはもうどうでもよくなり、ベランダに白いシーツを広げる。
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HN:
おとも
性別:
女性
自己紹介:
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/本体¥2000)
連絡・問い合わせ:
tomomita★sage.ocn.ne.jp
(★を@に変えてお送りください)
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