川が好き。山も好き。
五円玉を集めていたことがある。東日本大震災から数月経った頃だ。五円玉を集めては、当時の通勤経路に在った神社にお賽銭として、お参りをしていた。と、いっても、震災の鎮魂の思いではない。わたし自身の個人的な仕合せを思って、わたしは毎日のように目を閉じて手を合わせた。幸福にご縁(五円)がありますように、と。
それまでわたしは、わたし自身の心をないがしろにするようなところがあって、たとえば誰かがやらないと仕方のないことなどがあった場合に犠牲になりがちだったし、それを自分でも気づいていなかった。わたしを見ていてくれた昔の職場の方から忠言していただいて気づいたことだ。いい人になっていても誰もい人なんて思ってくれない。何を言っても断らない人なんだって、どんどん軽んじられていってしまうから、主張すべき時はちゃんとした方がいい、と。
それでも、生き方の癖はなかなか抜けず、震災のような非常事態時にこそ、わたし自身の安全や不安を後回しにするなど、へたくそに振る舞ってしまった。そうして、いろいろなものを喪った。
だから、何よりもわたし自身の幸福を一番大事にしようって、神社を参拝していたのだ。尤も、その神社は学業の合格祈願の神社だったけれども。
「祈る」ということについて考えている。先日、NHKでお百度参りのドキュメンタリーを見た。元気だった息子さんが突然病に伏し、当初こそ切実な思いでお百度参りをしていたような女性であったけれど、回復の兆しが見えず闘病が長引くにつれ、いつしかお百度参りを続ける意味合いが変わってきたように見えた。それでも、ずっとお百度参りを続けていた。彼女だけでなく、他のお百度参りをする人達も似たような事情を抱えていた。
祈るほかどうしようのないことがある。祈らずにはいられないことがある。祈ってもどうしようもないことがある。それでも。「願う」とは違うのだ、似ているようで、「祈る」と「願う」はどこかが違う、どこかが。
五円玉はいつしか集めなくなった。当時の好きだった仕事をずっと続けたい、という思いの一つが叶わないことがわかったから――仕事を辞す羽目になったから。幾たびも参った神社にも自然、足が遠のいてしまった。
しあわせになりたいと思う。もう、わたし自身がしあわせになりたいと思う。それは「願い」なのか「祈り」なのか、自分でもよくわからない。
欲張っておみくじ二回引きおれば待ち人来ずと二回告げらる
それまでわたしは、わたし自身の心をないがしろにするようなところがあって、たとえば誰かがやらないと仕方のないことなどがあった場合に犠牲になりがちだったし、それを自分でも気づいていなかった。わたしを見ていてくれた昔の職場の方から忠言していただいて気づいたことだ。いい人になっていても誰もい人なんて思ってくれない。何を言っても断らない人なんだって、どんどん軽んじられていってしまうから、主張すべき時はちゃんとした方がいい、と。
それでも、生き方の癖はなかなか抜けず、震災のような非常事態時にこそ、わたし自身の安全や不安を後回しにするなど、へたくそに振る舞ってしまった。そうして、いろいろなものを喪った。
だから、何よりもわたし自身の幸福を一番大事にしようって、神社を参拝していたのだ。尤も、その神社は学業の合格祈願の神社だったけれども。
「祈る」ということについて考えている。先日、NHKでお百度参りのドキュメンタリーを見た。元気だった息子さんが突然病に伏し、当初こそ切実な思いでお百度参りをしていたような女性であったけれど、回復の兆しが見えず闘病が長引くにつれ、いつしかお百度参りを続ける意味合いが変わってきたように見えた。それでも、ずっとお百度参りを続けていた。彼女だけでなく、他のお百度参りをする人達も似たような事情を抱えていた。
祈るほかどうしようのないことがある。祈らずにはいられないことがある。祈ってもどうしようもないことがある。それでも。「願う」とは違うのだ、似ているようで、「祈る」と「願う」はどこかが違う、どこかが。
五円玉はいつしか集めなくなった。当時の好きだった仕事をずっと続けたい、という思いの一つが叶わないことがわかったから――仕事を辞す羽目になったから。幾たびも参った神社にも自然、足が遠のいてしまった。
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短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)
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