川が好き。山も好き。
昔の同僚さんから電話がかかってくるようになった。わたしより一回りぐらい年上の人。彼女に誘われて会うと宗教の勧誘をされる、という話は共通の同僚仲間から聞いていたので、それとなくはぐらかして会わないようにしている。根回しが済んでいることを知らない彼女は、電話では宗教のことを口に出さず、ひたすら「今すぐ会いたい」「(わたしのことが)心配」とくり返す。震災の時すら連絡を取り合わなかった間柄なのに今になって「心配」とか、なんなんだろうなあと思ったりもする。わたしを親身に思ってくれているのではなくて、カモのように見ているのがわかる。昔はそんな人じゃなかったのに、なんだかかなしい。
二十歳そこらで若くして子供を生んで結婚した人である。一緒に働いていた当時も、子供の話がほとんどだった。早くから子供子供の子供漬けだったのが、子供の大きくなって手が放れて寂しくなった心の隙間に、宗教が入り込んでしまったのだろうか。宗教にはまったきっかけも、子育ての悩みからだと外づてに聞いている。
とはいえ、子供がいて夫がいて、それでもう充分でしょう? 愛する夫や子供こそ、神様より神様でしょう? って思ってしまう。そりゃあ既婚者と未婚者の悩みは違うのかもしれないけれど、少なくとも恋愛で好きな相手と結婚できただけでも、大きな奇跡を手にしているのに。
電話口に熱心な彼女の声を聞く度、しあわせってなんだろうと思う。神様を信じて、彼女は妙にしあわせそうではある。
初めて会った時、三十二歳で既に小学生の子供を二人持っていた彼女の年齢を、今のわたしが追い越していたことに、ふと、気づいた。あの無邪気な子供達も今は二十歳ぐらいになっているはずだ。子供が大人になるほどの月日が過ぎているのに、わたしはいつまでも子供のままでいる。
神様を信じていないわれなれば「おかあさーん」って泣くほかはなく
二十歳そこらで若くして子供を生んで結婚した人である。一緒に働いていた当時も、子供の話がほとんどだった。早くから子供子供の子供漬けだったのが、子供の大きくなって手が放れて寂しくなった心の隙間に、宗教が入り込んでしまったのだろうか。宗教にはまったきっかけも、子育ての悩みからだと外づてに聞いている。
とはいえ、子供がいて夫がいて、それでもう充分でしょう? 愛する夫や子供こそ、神様より神様でしょう? って思ってしまう。そりゃあ既婚者と未婚者の悩みは違うのかもしれないけれど、少なくとも恋愛で好きな相手と結婚できただけでも、大きな奇跡を手にしているのに。
電話口に熱心な彼女の声を聞く度、しあわせってなんだろうと思う。神様を信じて、彼女は妙にしあわせそうではある。
初めて会った時、三十二歳で既に小学生の子供を二人持っていた彼女の年齢を、今のわたしが追い越していたことに、ふと、気づいた。あの無邪気な子供達も今は二十歳ぐらいになっているはずだ。子供が大人になるほどの月日が過ぎているのに、わたしはいつまでも子供のままでいる。
神様を信じていないわれなれば「おかあさーん」って泣くほかはなく
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無題
幸せも不幸もひっくるめて
新しい家族がいることが幸せなことだと
気づかずに愚痴る友人の
話を聞きつつため息がでる。
↑
こんな時の私の気持ちと
この文章を書いた時のおともさんの気持ちは
似ているのかもしれないなぁとおもった。
>子供がいて夫がいて、それでもう充分でしょう? 愛する夫や子供こそ、神様より神様でしょう? って思ってしまう。そりゃあ既婚者と未婚者の悩みは違うのかもしれないけれど、少なくとも恋愛で好きな相手と結婚できただけでも、大きな奇跡を手にしているのに
新しい家族がいることが幸せなことだと
気づかずに愚痴る友人の
話を聞きつつため息がでる。
↑
こんな時の私の気持ちと
この文章を書いた時のおともさんの気持ちは
似ているのかもしれないなぁとおもった。
>子供がいて夫がいて、それでもう充分でしょう? 愛する夫や子供こそ、神様より神様でしょう? って思ってしまう。そりゃあ既婚者と未婚者の悩みは違うのかもしれないけれど、少なくとも恋愛で好きな相手と結婚できただけでも、大きな奇跡を手にしているのに
Re:無題
kumapapa31さん、こんにちは。
自分で作った新しい家族については、いくら愚痴っても手離さないあたり、
やっぱりしあわせなんでしょうね。ため息の出る気持ち、わかります。
だからこそ、自分がもしも家族を作れたら、心から大切にしたいなって思います。
自分で作った新しい家族については、いくら愚痴っても手離さないあたり、
やっぱりしあわせなんでしょうね。ため息の出る気持ち、わかります。
だからこそ、自分がもしも家族を作れたら、心から大切にしたいなって思います。
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歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)
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(★を@に変えてお送りください)
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