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川が好き。山も好き。
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映画『偶然と想像』を観てきました。監督・脚本は濱口竜介さん。出演は古川琴音さん、中島歩さん、玄理さん。渋川清彦さん、森郁月さん、甲斐翔真さん。占部房子さん、河井青葉さん。偶然をテーマにした短編集です。上映前に監督の挨拶の映像も流れました。
 第一話「魔法(よりもっと不確か)」は親友の話す惚気話の相手が元カレと気づき…という話。第二話「扉は開けたままで」は、作家でもある大学教授をスキャンダルに陥れるために色仕掛けを共謀する話、第三話「もう一度」は、高校の同級生と街中で20年ぶりに再会して興奮のままに話し込むが…という話。
 わたしはどれもおもしろかったです。登場人物の人数が最低限なくらい抑えられていて、小作りな感じ。台詞でどんどん露わになって深まってゆくような感覚は舞台的なのでしょうか。なんだか棒読みが気になるところもあったのですが、特定の誰かというわけでなく、その場の会話全体が淡々と流れていくので、あえて感情を乗せずに言葉を味わう演出なのだろうと思いました。登場人物の誰にもあまり共感できないのに、ぐさぐさ刺さって痛くなるような、不思議な映画でした。シューマンのピアノ曲のかろやかさが絶妙でした。

 第三話の舞台は仙台で、スクリーンには見慣れた場所が映りました。二人がすれ違った駅前のエスカレーターはわたしも時々使います。ここで20年ぶりに誰かに再開してもわたしは気づけるかな。と、思ったけれど、そこから先の通りで10年ぶりくらいに気づいてもらえたことはあったのでした。なんだかそれっきりになってしまったけれど、それでもよく見つけてくれたなあとびっくりした出来事でした。日常は偶然にあふれているのでしょう。

  公式サイト→https://guzen-sozo.incline.life/

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自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

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