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川が好き。山も好き。
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今月は5本くらい観たい映画があって、『人生フルーツ』の再上映は一回観たからと涙を飲んで見送ったところ、急遽しばらく映画館が休館することとなりました。残念ですが、しょうがないですね。お家で過ごすことにしましょう。

 『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』は、自粛前の公開直後あたりに観てきました。なにしろ自分が生まれる10年前のことなので、どちらかに格別な思い入れもなく、一定の距離感を持って鑑賞できた気がします。
 生まれる前のことだからこそ、学生運動とか聞くともう過去のニュース映像で見るあさま山荘事件とかよど号ハイジャック事件とかのカルトなイメージが先立ってしまっていました。あらためてこの機にいろいろ調べてみても、やっぱりよくわからないところがあります。革命を起こして日本を共産主義の国にしたかった、ということで合っているのでしょうか。
 三島由紀夫はいくつか小説を読んでいたぐらいで、三島事件などの思想についてはくわしく踏み込んでいない普通の読者といったところです。
 こんな感じなので、討論の内容については、正直なところあまり理解ができなかったのですが、実際にこの国にあった出来事の貴重な記録を観られて良かったと思いました。血気盛んな若者達に対して三島由紀夫の落ち着きっぷり。

 東大全共闘の方の「東大動物園 駒場分室 特別作品 三島由紀夫 飼育費1000円」という走り書きと、三島由紀夫をゴリラに見立て揶揄した絵が出てきて、なんだかがっかりした気持ちになりました。
 少し前、ある特定の政治家が泣きながら土下座をしている絵を楽しそうに掲げて大声を出してはしゃいでいる集団を駅前で見たのを思い出しました。あの時もなんだか不快でした。その政治家を支持するとかしないとかじゃなく、下品で幼稚な表現に感じたのです。毒の効いた風刺画だったらニヤリと笑えたりするのでしょうけれど、ただの剥き出しの攻撃性みたいなものにはわたしは抵抗があります。それを集団で笑っているのにも。仲間内では楽しいのかもしれませんが、外からそれを見た時に「この人達は正しいことを言っている」とは思いにくい気がします。相手への攻撃ではなく自分達の主張に力を入れればいいんじゃないかと思うのですが、いろいろ事情があるのでしょうか。難しいことはほんとうによくわかりません。

 元全共闘の人、元盾の会の人、討論の場にいた人達の現在のインタビューも興味深かったです。当時は敵対していて、今はどうなのかはよくわかりませんが、どちらの立場の人も大体が社会的地位の高い職に就かれているようでした。
 わたしの両親は世代的には5つぐらい下なんだな、と思いました。5つぐらい下でも東大どころか中卒の父は同じ時期に既に肉体労働で働いていて、学生運動なんて別世界の話です。学生運動の時代を青春のように語れるのは都会の家柄にも経済的にも恵まれていた人達であって、地方の貧困層にはあまり関係がなかったように思われ、あらためて分断のようなものに気づくのでした。

  公式サイト→https://gaga.ne.jp/mishimatodai/

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おとも
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自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

連絡・問い合わせ:
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