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川が好き。山も好き。
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「ぼけますから、よろしくお願いします。」を観てきました。東京で仕事をしている一人娘の視点から、故郷の両親の老いを見つめるドキュメンタリー映画です。お母さんの認知症が大きく扱われていますが、ことさら悲劇を煽るような感じでもなくて、淡々と日常の映されているのがいいんだなあと思いました。監督で、娘でもある信友直子さんのナレーションも自然体で、優しい。
 
 ご両親のお元気だった頃の過去映像が、せつないのでした。お母さんは書で賞を獲るなど趣味も充実していて、お友達も多く社交的で、なにより直子さんが45歳で乳がんを患った時に上京して支えてくましれた。抗がん剤の副作用で脱毛している直子さんにお母さんは「かわいい」と笑います。笑顔のすてきなお母さんだったのです。
 冒頭で帰省する直子さんを料理を用意して迎えに来てくれたお母さんが、どんどん変わってゆきます。知的なお父さんも老いてゆきます。それでも、お父さんは直子さんが仕事を辞めて実家に戻ることを望まず、二人の暮らしは続くのでした。

 ご両親の老いにも考えさせられるものがありますが、直子さんが独身女性という点も見過ごせないと思うのです。結婚していて双方の両親を見る方が大変だとか、子育てと介護の両立の方が大変だ、というような声もあるかもしれませんが、やはり一人で背負う重さや頼りなさだって相当でしょう。ご両親が二人で生きている様子に胸を打たれるからこそ、じゃあ直子さんが老いた時は……? ということが気がかりになるのでした。
 両親の老いはほとんど誰にでも訪れることだから、他人事としては観られません。今はふわふわ生きているわたしにもいつか訪れる日常なのでした。

 公式サイト→http://www.bokemasu.com/

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自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

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