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川が好き。山も好き。
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 2009年から使っていた短歌ノートがそろそろ終わる。それ以前は日記についでに書いていたのだけれど、新年を期に専用のノートを作ることにしたのだった。専用といっても、なんてことない、普通の無印良品のリングノートだけれど。

 あらためて読み直してみると、最初の頃のページの短歌はやっぱり下手だなって思う。今ならばここをこうするなあ、っていうのはきっとあるのだろうけれど、その頃の気持ちには戻れなくてもういじれないものもある。短歌としては未熟で恥ずかしいけれど、もう一つの日記のように心の移り変わりが表われていて、不思議に感慨深くもあった。
 ノートの最初の頃に多いAC短歌なんて、今後はもう詠まないかな。痛々しくて読み返すのもつらい。その頃の自分の気持ちを思い出すのもしんどい。
 そしてAセク短歌、人に恋愛感情の抱けない自分をかなしむ連作も編んだりしていたわたしが、まさかゆくゆく相聞歌を詠み出すようになるとは。
 震災詠なんて、それこそノートの一番最初のページ、2009年の時点では全く予想もできないことで。
 
 なにも変わってないような気がしていた。ずっと同じ部屋に住んでいて、変わり映えしない生活で。このままこんな繰り返しで人生が終わってしまうんじゃないかって、不安でたまらなかった。こうしている間に、他の人達はどんどん進んでいって、取り残されているように思えていた。わたしばかりが同じ場所に立ち止まっているような気がしていた。
 それでも、わたしはわたしで全然違うわたしになった、と、5年分の歌を振り返って気づいた。失ったものもあれば、得たものもあった。あたらしい感情を知った。あたらしい言葉を知った。
 
 あたらしい短歌ノートは、優しい歌でいっぱいにしよう。優しい歌の詠める暮らしを営もう。そうして、二冊目のノートが終わる頃、今のわたしを「この頃のわたしひどかったな」って懐かしく笑おう。

  しんどいのもいつか終わるよ幸せな頃がずっとは続かなかったように
  
  

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こんばんは。
私も言葉のサイトを立ち上げた頃から今に至るまでの詩をノートにまとめてるんですが、読み返すと何とも言えない気持ちになります。

恋の「こ」の字も知らなかった頃のものなんて、想像だけで書いてるのがバレバレだし(笑)

でも恋愛に限らず、今では書けないもの、今だから書けるものというのが確かにありますね。

経験することでしか自分のものにはならないってことでしょうかσ^_^;
新しいノート、優しい歌でいっぱいになるといいですね。
砂名 URL 2013/07/31(Wed)22:14:51 編集
砂名さんへ
詩歌は私的になりがちな文学だからこそ、昔の自分の作品を読み返すと
いろいろ思うこともありますね。
心のもやもやを吐き出すように作ってしまったものなどは、特に。

想像で書くという手法もあるのでしょうけれど、やっぱり実際に経験して
書いたものは手触りや温度が感じられるような気がします。
そうしたものを他の人の作品からも感じたいからこそ、詩歌が好きなのかもしれません。

新しいノート、優しい幸せな歌でいっぱいにしたいです。
砂名さんの新しい詩も楽しみにしてますね。

おとも 2013/07/31(Wed)22:39:07 編集
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短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

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