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川が好き。山も好き。
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「月と雷」を観てきました。角田光代さんの原作が好きで。主人公の康子の、30代独身で田舎のスーパーのレジ打ちパート勤務というさえない境遇に近しさを覚えるのかもしれません。尤も、それまでの人生は結構歪んでいるのだけれど。ああ、文庫本の「まっとうな家族が作れるのだろうか そんなものを知らずに育った私たちに」という帯文にも惹かれたのだったと思います。
 
 映画を観る前に再読をしました。幼い康子の家に転がり込んでくる親子・直子と智。わたしは直子みたいな女の人にどうしようもない嫌悪感があります。一日中酒を飲み、タバコ、パチンコ、ゴミ屋敷。男の人にもだらしがなく次から次へと渡り歩く。不倫して何度も妊娠して堕胎する。ことさら不快に思えるのは、わたしがそうしたことを自分に禁じているからという、心理学でいう投影の法則なのかもしれません。
 直子のようなクズ系の女性は身近にはいませんが、妙によく聞くような気がします。ニュースで知る犯罪者は大概がこんな感じじゃないでしょうか。というか、わたしは読んでいて石井光太『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』というルポタージュ本を思い出したのでした。「愛していたのに殺した」という親達。そしてその親を育てた親たちへ目を向けてみると見えてくる悲惨な成育歴、劣悪な環境、歪みの連鎖にどんよりとした気分になります。要するに、極めて常識的でない人達の下に生まれた人達は、まともに育てられていないので何かが欠けていて、大人になって自分が子を持った時にどうしたらいいかわからないのです、愛していても。

 映画の方は、康子は初音映莉子さん、小説の屈折したイメージより正統派な美人さんでした。智は高良健吾さん、これはとてもわかる。そして直子がお上品なイメージの草刈民代さんというのは意外なキャスティングでした。
 原作で好きな台詞が映画には出てこなかったのと、原作とちょっとタイミングの違ったラストが少し不満かなあ。でも映画らしい余韻なのかも、とも思いました。
 それにしても、公式サイトの角田さんのコメント「書いていて大嫌いだった泰子も智も直子も」って! わかるけれども!

  公式サイト→http://tsukitokaminari.com/

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自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

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