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川が好き。山も好き。
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カウンセリングに行ってみました。自分の心に向き合いたいと思ったのがきっかけです。思い悩んでも友達には相談しにくいこともあるし、心理などの本を読んでも変に知識がついて余計に考え過ぎるようになってしまった気がしたのです。専門家の人に客観的な意見を伺えればいいし、ただただ話したい気持ちを満たすだけでもいいと思いました。
 ただただ話すことを目的として「占いに行ってみようかな?」と言ってみたら母や友達に大反対された、という経緯もあったりします。同じくらいの金額ならば、カウンセリングを受けてみたいと思いました。

 カウンセリングルームは、雑居ビルのようなマンションの一室でした。カウンセラーは女性の方で、向かい合うでも並ぶでもなく斜めに座りました。飲み物やお菓子が出ました。
 まずは木の絵を書きました、バウムテストです。カウンセリングっぽい!わたしは木の上部が紙に収まらないように描いていました。無意識なのですが、数年前に別件で木の絵を描いた時にも上部が収まらないように描いていて、ハッとしました。他にも書き上げる時間や筆圧、木の種類や位置などでいろいろ解釈できるようです。わたしの結果は、未来への思いがあって割と男性的とのことでした。

 こういうところでは必ず成育歴のことを聞かれるとは思っていたのですが、その辺りは別にもういいような気がして、そっちへ話が行かないように、昔は確執もあったけれど今は感謝しているし良い親だと思っていると答えました。
 けれども、どうしてそう思うのか聞かれて、たとえば人に親切にしてもらった時に菓子折りを送るような常識を親を見て学べたこと、お酒やギャンブル、不倫や離婚などをする親ではなかったし、荒れた家庭ではなかったことなどを挙げたのですが、「それって、別に親じゃなくてもいいよね。たとえば施設の職員や、私が同じようにすることもできるよね」と返ってきました。「でも」「でも」と、わたしは自分の親を良く思っている理由をたくさん伝えたのですが、言えば言うほど「無理に良く思おうとしてるみたい」とのことでした。そもそもの話、理由がどうとかではなく、本来は生んでくれただけで親ことを好きと思うものなのだそうです。

 ぐさぐさきました。

 ふり返ってみれば、わたしは親だけでなく、友達や恋人に対してさえも、好意の理由付けをしています。別に、条件で人を選んでいるわけではありません。ただ、気持ちが先にあっても、その自分の気持ちの理由をいちいち考えてしまうのです。そして、自分が誰かにとくべつに思ってもらえた時も、理由があるのだと信じきっていました。
 愛は理屈じゃないとか、ありのままの自分でいいとか、慣用句のように聞きなじんていたと思っていたのに、わたしは他人事だったんだなあと思い知りました。また、自分がさらっと流そうと思っていた話から根本的な歪みが見出されたことも意外な展開でした。

 他にもいろいろ話をしましたが、何気ない会話に見せかけて自分の心を開かされている感じがしました。中には、これはアスペルガーかどうか探られている流れなのかなあ?と思うものもありましたが。けれども、自己分析だけではたどり着けなかった自分のいくつもの心に気づかせてもらえました。自分が「嫌だな」と思ったことを大事にした方がいい、というのも胸に留めておこうと思います。

 大き目のカップに淹れてもらったコーヒーはいつの間にかすっかり冷えていて、少し残しました。飲みきるのが礼儀なのかなと迷ったり、ミルクの量や砂糖の数も実は診断材料なのだろうかと構えたりもしました。
 通勤と同じ地下鉄で帰りました。ちょうど去年の今頃の仕事で降りていた駅は懐かしく、天井の星のアートのひかっているのがにじんで見えました。
 
  父母が恋愛結婚じゃないからわたしは愛の結晶じゃない

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おとも
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自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

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