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川が好き。山も好き。
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離れて暮らしている妹と、10ヶ月も会えなさそうなので、写真をお手紙で送ってもらいました。妊婦姿の妹を見てみたいと思ったのです。
 封筒を開けて、写真の中の妹のふくらんだお腹を目にした途端、ぼろぼろと涙がこぼれてしまって、そんな自分に困惑しました。
 わたしと妹は仲が良いし、わたし自身には出産願望はないので、先を越されて悔しいというような嫉妬心、哀しい悔しいといった気持ちはありません。かといって、ものすごく子供大好き楽しみおめでとう早く甥っ子に会いたいよーというほど歓喜しているわけでもありません。
 そういえば、写真の届く前日に、ひどく自己嫌悪するようなことがあって、落ち込んでいたのですが、そうした弱っていた心が、涙に関係あるかどうかわかりません。
 ああ、あんなに小さかった妹が母親に、といった感慨はあるような気はします。妹の初潮の世話をしたのは中学生だったわたしです。わたしの時に心身のケアのへたくそだった母とは違い、そこそこうまくしてあげられたと思っています。
 ただ、この頃よく思うのは、人間も犬や猫、魚や昆虫のように、繁殖して子孫を残し種を保存するために生きている生物の一種なのだなあということ。震災時、危機的状況下においてのみわたし自身に起こった感情の動きから、そんなことをずっと考えています。だから、子を宿した妹の写真は、生物として正しい姿だ、とつくづく感じたりしました。

 それにしても、最近の妹と話していて、わたしと同じ家庭に育ち、「結婚したくない」「子供欲しくない」とずっと言っていた妹の、母性の目覚めっぷりには驚くばかりです。もう、すっかりお母さん。妊娠して、脳内にそういうホルモンが分泌されだしたのでしょう。一般的に、なんだかとてもしあわせな気持ちになると聞きます。人類の神秘です。もちろん、妹を愛し受け入れ支えてくれる夫君の力もあるのでしょう。

 ああ、そうだ、妹の顔がよく双子と間違えられるくらいわたしとそっくりで、一瞬わたしが妊娠してしまったかのように錯覚して、恐怖感に襲われたりもしたのでした。

「こんなふうになるとは思わなかった」と自分でも驚いている妹のように、わたしにも、そんなふうになるとは今は思っていない未来があったりするのかもしれません。

  晴れた日は晴子、雪降りなら雪子 生まぬ子の名を考えており 

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おとも
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女性
自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

連絡・問い合わせ:
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