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川が好き。山も好き。
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 今、妹は妊婦さんです。夏頃にはわたしに甥っ子か姪っ子ができ、わたしは伯母さんになります。
 なにしろ遠くに暮らしているので、妹のふくらんだお腹もこの先目にすることがないまま、いきなり赤ん坊が現れたりするのでしょう。
 お互いが独身の時代は、年に一回、予定を合わせて姉妹で温泉旅行に行っていました。気のおけない妹との遠出の旅行は年に一度の楽しみでしたが、妹の結婚、妊娠、出産により、途絶えることになります。おめでたいことではあるのだけれど、毎年の習慣の一つの消えてしまうのは、どこか寂しくも思います。会えなくなるわけではないにしても、幼い子供連れ、旦那さんのご両親と同居では、今までのようには遠出もできないでしょう。わたしも今まで以上に気を遣います。

 年に一度、会う度に「結婚はしない」「子供は生まない」と散々言っていた妹でしたから、両親に孫の顔を見せられるのは出産願望はないとはいえ少なくとも結婚願望はあるわたしの役目なのだろうか、と持ち前の理屈っぽさでずっと考え思い悩んでいました。けれども、妹は長年お付き合いしていた恋人ときっちり30歳前の29歳には入籍し、30歳には結婚式を挙げ、31歳には両親に孫を抱かせてあげることになりました。
 非正規の職をふらふらしているわたしとは違い、これまで正社員でちゃんと働いていた妹。正直、引け目を感じないでもありません。妹が自分の結婚や出産に否定的なことを言う度、それぐらいは姉のわたしの方が先に成し遂げてやりましょう、と心のどこかで安心している自分もいました。でも、結局は人生において妹の方がほとんど先輩となることになりました。顔がそっくりのため、これまでは双子に間違われることも多かったわたし達ですが、今後は人生経験を重ねた妹の方が姉で、いつまでもおぼこいわたしの方が妹に間違われることもあるかもしれません。
 尤も、妹があれほど嫌がっていた結婚や出産に前向きになれたことはよろこばしいことで、なにか心境の変化があったのかもしれないし、ホルモンの影響かもしれないし、今は「子供なんて考えられないなあ」と思うわたしも30歳前後は妙に子供が可愛く見えたし、閉経間近の40歳頃に子供が欲しくてたまらなくなるように女性の体ができている、なんていうのもよく聞く話です。

 男の子か女の子かもわからない、未だ生まれざる子ですが、ゆくゆく言葉を話すようになった際には「おともちゃん」だとか「仙台のおねえちゃん」だとか変に呼ばせずに、普通に「伯母さん」と呼んでもらうつもりでいます。いつまでも少女のような心を持っていたって、客観的にはもう普通にオバサンですもの。

  おめでとう幸せにって心から思っているよ でもさびしいよ

***

 里芋と豚肉の煮物。味付けは山形の芋煮風。色みにオクラも入れてみました。意外に合いました。

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プロフィール
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おとも
性別:
女性
自己紹介:
短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

連絡・問い合わせ:
tomomita★sage.ocn.ne.jp
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