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川が好き。山も好き。
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一人きり部屋で過ごしていたいけど誰かと家で暮らしていたい

 と、いう歌を詠めた時、たしか2006年のことだ、自分の心を素直に言葉にできた気がして、ひどく満たされた覚えがある。意気揚々と某コンテストに応募した。意気揚々と某コンテストに応募したものの、箸にも棒にも引っ掛からなかった。

 けれど、今ならばわかる。今のわたしは、この歌に共感できない。たぶん、多くの人がこの歌に共感できない。選外も当然。今ならばわかる。

 わたしの育った家庭には、団欒がなかった。今でも、ない。だからかもしれない、家の中では自室で一人で過ごしている方がよっぽど心地よかった。そのためか、一人暮らしを始めて、ある種のさびしさは覚えても、ホームシックにはかからなかった。或いは、ホームシックにかかるようなわたしだったら、うまくさびししがれるようなわたしだったら、人生をもう少しなんとかできていたのかもしれない。かつてのわたしは一人に慣れ過ぎてしまっていたし、頼りない思いをしても我慢する以外の方法を思いもつかなかった。

 一人の時間は大切。けれど、一緒に同じ時間を分かち合えるような誰かが人生には必要なのだと、震災やそのほかの喪失をあじわって、切に思うようになった。

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短歌とか映画とかこけしとか。
歌集『にず』(2020年/現代短歌社/¥2000)

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